看取りケアしやすく 特養ホームせんねん村(愛知・西尾市)

2013年1028 福祉新聞編集部
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
居室が狭いためリフトはモリトー社の床走行式を選んだ

 福祉機器を活用するとケアが変わる。安楽な移乗ケアが実現し、看取りケアも容易になる。愛知県西尾市の特別養護老人ホームせんねん村(定員80人、中澤明子施設長)は5年計画で機器導入を進め、大きな成果を上げている。(井口拓治)

施設長自身が体験

  せんねん村は、2001年1月に開所したユニット型施設。08年に東京で開かれた研修会に中澤施設長が参加し、スライディングボードによる移乗ケアを学んだことをきっかけに機器導入を始めた。

 

 自ら手を挙げ、被介護者体験をした中澤施設長は「これほど安楽な介護はない」と実感。2人介護の際の「いっせいの」という掛け声が荷物を運ぶようで嫌だったこと、利用者が体を硬直させない移乗ケアを実現したいと思っていたことから、導入を即決した。

 

 施設に戻った中澤施設長は、中核職員らと5年計画を策定。全職員に方針を伝えるとともに、市川洌・福祉技術研究所代表取締役にコンサルタントを依頼。調整機能付き車いすを4台入れ、正しい姿勢、座位保持方法などを学ぶことから始め、翌年に厚生労働省補助金でリフトを入れた。

委員会を中心に

 機器導入と同時に職員養成にも力を入れた。福祉用具プランナーの資格を職員(3年間で7人)に取得させるとともに、各ユニットからメンバーを選び、「福祉用具委員会」を設置。委員会中心にリフトの使い方を研修し、試験制度を検討・導入した。

 

 翌年には維持期のリハビリを強化するため採用した常勤の理学療法士を委員に加え、介護職員への技術指導体制を強化した。

 

 利用者の平均要介護度は3・8(開所時3・2)。リフト使用者も40人に増えたが、モリトー社の床走行式リフト(16台)、ラックヘルスケア社の調整機能付き車いす(35台)、 パラマウント社の3モーター式ベッドを使い、抱え上げない移乗ケアを実現。座位が取れない利用者が入る「寝浴」は機械浴槽がないため、ストレッチャー付き床走行式リフトと回転式移乗シートを使うことで抱え上げない介護を徹底している。

 

機械浴槽なしでも抱え上げない介護を実現

機械浴槽なしでも抱え上げない介護を実現

 

5年計画、大きな成果

 機器導入で利用者が車いすからずり落ちたり、足をぶつけ皮がめくれたりする事故は無くなった。正しい座位を保持することで食事量が増えた人や自走できるようになった人もいる。職員は腰痛による離・休職が無くなり、出産後に復職する職員が増えるなど人材確保にも役立っている。

 

 特に毎年約20人が亡くなる看取りケアでは、利用者の状態に合わせ6種類のマットレスを使用して褥瘡を予防。「ユニットの仲間やなじみの職員に見送られて逝きたい」という希望にすべて応えている。ベッド稼働率は驚異の99・8%だ。

 

 機器導入から5年。中澤施設長は「導入してよかった。利用者のためには時間が掛かってもリフトを使うべき。機器の活用はまだまだ途上で職員の技術向上と徹底が課題。気を緩めずにやっていきたい」と話している。

    • このエントリーをはてなブックマークに追加