障害者が語る戦争体験 戦後70年でシンポジウム

2015年0930 福祉新聞編集部
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戦争体験を語る水野さん、藤野さん、松本さん(左から)

 日本障害者協議会(JD)は8月28日、「戦後70年と障害者~わたしたちには聴こえます! 戦争の足音が」と題するシンポジウムを憲政記念館(東京都)で開き、約500人が参加した。沖縄戦と「晩発性の心的外傷後ストレス障害(青壮年期には何事もなく、晩年に発症するもの)」を研究する蟻塚亮二・メンタルクリニックなごみ院長(精神科医・福島県)が基調講演したほか、戦争体験のある障害者らがそれぞれ体験談を披露した。

 

 戦後、小学生の時に不発弾の爆発で両手首と両眼の視力を失い、弟が即死した体験を持つ藤野高明さん(76・大阪府)は、「私は事故後13年間就学を拒否された。私はいま、子どもたちの未来に計り知れない不安を感じている。若い人には戦争と障害のことを自分のことだと考えてほしい」と話した。

 

 聴覚障害のある水野ミサさん(89・東京都)は、故郷の新潟県でろう学校に通っていた時の空襲を手話で説明。「自分のすぐそばに焼夷弾が落ちておなかをやけどした。周りは死体や内臓の飛び出た人だらけで地獄だった。これからは手話通訳をさらに発展させて、差別のない社会になってほしい」と話した。

 

 肢体不自由児学校の元教員で、障害児の学童疎開に詳しい松本昌介さん(79・東京都)は、「子どもたちは疎開先で栄養不足で苦しんだ。障害者が一人で生きていくのは難しい。今の若い人にはたくさん学んでほしいし、障害のある仲間を一人きりにしてはいけないと言いたい」と話した。

 

蟻塚医師の講演要旨

 

蟻塚医師

蟻塚医師

 

 沖縄戦を生き延びた人を診察して気付いたのは、不条理な死別による複雑性の悲嘆と、生活の場を失うことによる根こそぎのうつ病(人格を傷つけ、トラウマが後の世代に伝達される)だ。「2年前の息子の死によって戦時中の死体のにおいを思い出し、不眠になった80歳の女性」「クリスマスやアメリカという言葉だけで体がざわざわする70代前半の男性」などを診てきた。沖縄戦はまだ終わっていない。戦争は障害者を作る。戦後70年の今年、障害者がどう生きていくべきか考える機会にしたい。

 

 

 

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