障害に気付く目を持とう 大学教職員対象に研修

2015年1006 福祉新聞編集部
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障害はどこにあると思うかグループで話し合った

 「障害はどこにある?」−。社会にある障害に気付く目を持って、差別のない組織づくりを目指す「障害平等研修」が9月3日、東京家政大学(板橋区)で初めて国内の大学教職員を対象に開かれた。同大学の田中恵美子准教授は「さまざまな人がかかわれる開かれた大学でありたい」と思いを語った。

 

 

 研修はNPO法人障害平等研修フォーラム(久野研二代表理事)が実施する。障害者差別解消法の施行が来年4月に迫る中、自治体や企業の意識を高めようと昨年から日本で広める活動を始めた。

 

 同法は私立大学に、障害者の受験拒否などの差別禁止を義務、目が見えない生徒には資料をデータで送るといった合理的配慮の提供を努力義務としている(国公立大学の場合は義務)。

 

 この点を、授業にも障害平等研修を取り入れている田中准教授は、「私立大もやるべきだが、選択の余地がある。取り組むことが経営として生き残り戦略にもなると思う。そもそも大学はさまざまな人がかかわれる、開かれたものでなくてはならない」と語った。

 

 研修の大きな特徴は同フォーラムが養成した障害当事者がファシリテーターを担う点。

 

 この日は佐藤聡・DPI日本会議事務局長が務めた。佐藤さんは、店の前に階段があり、車いすに乗った人が入店できないシーンの絵を出し、障害はどこにあると思うか問いかけた。参加者は「階段のない入口を示す案内がない」「大安売りとあるが、売りたい人の中に障害者が入っていない」「スロープがあればいいのに」などと指摘した。

 

障害があると思った所に印を付ける

障害があると思った所に印を付ける

 

 

 こうした視覚教材とグループワークを活用した参加型の演習を繰り返すうちに、最初は「障害とは不自由」「当たり前にできることができない」などの意見を持っていた参加者は、「障害は理解不足で発生する」「ニーズに対応できない社会の問題」と障害が個人でなく社会の側にあると気付いていった。

 

 研修は問題の発見だけでなく、参加者が解決に向けて具体的に取り組むことも目指す。

 

 そこで佐藤さんは、障害者に不便な環境が生み出されないよう考えるヒント二つ①社会と障害者どちらを変えるのか②当事者の声を聞くか−を提示した。

 

 研修で得たことを基に、参加者は「キャンパスのバリアフリー状況を知らないので、まず把握する」「障害学生への支援方法を調べる」「車いすの人がエレベーターをスムーズに使えるよう配慮する」など、これからの行動計画を作成した。

 

 同フォーラムの長瀬修理事は合理的配慮について「努力義務だからこそ、法に縛られず創意工夫する余地がある」とこれからの取り組みにエールを送った。

 

ことば

 

 障害平等研修= 1990年代後半から英国で障害者差別禁止法の推進のための研修として発展。34カ国で290人の当事者がファシリテーターとして研修を実施している。

 

 

 

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