精神病院を廃止したイタリアの大学教授が講演 「精神医療はピアサポートが主流に」
2015年10月20日 福祉新聞編集部
精神医療改革をイタリアのヴェローナで実践したロレンゾ・ブルチ・ヴェローナ大教授が3日、都内で講演し、約70人が参加した。来日は2009年以来2回目。
「イタリアにおける心理社会的リハビリテーション~過去・現在・近未来」と題し、専門職によるチームケアや、精神疾患のある当事者が支え合うピアサポートについてヴェローナの現況を報告。
将来、ピアサポートはさらに発展し、リハビリの主流になると語った。医師やソーシャルワーカーなど専門職は柔軟性を持つべきだとも主張した。
また、イタリアの議会が司法精神病院(精神疾患があり犯罪をした人が入院する)を抜き打ち検査した際の映像を公開した。
講演はNPO法人精神保健福祉交流促進協会、大塚製薬の共催。
講演要旨は次の通り。
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イタリアは精神病院を廃止したことで知られるが、20世紀前半までは収容施設の数と規模が飛躍的に拡大した。治療は処罰のようなものだった。精神科医は患者におわびしなければならない。
1960年代から精神病院の廃止をけん引したフランコ・バザーリアは、理論的な批判にとどまらず、患者の個性や尊厳を解体している精神病院の廃止に取り組んだ。通称バザーリア法が78年に成立し、84年までに入院患者は3万人に半減した。