福祉機器活用でケアを変えよう 吹上苑が抱え上げない介護実演

2015年1028 福祉新聞編集部
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
据置式リフトを使った移乗ケアを見つめる参加者
据置式リフトを使った移乗ケアを見つめる参加者

 福祉新聞社主催のセミナー「機器活用でケアを変えよう」が7日に開かれ、施設職員など約120人が参加した。第42回国際福祉機器展(HCR)に合わせ開いたもので、埼玉県の特別養護老人ホーム吹上苑(関口敬子施設長)が日々のケアの一端を実演・報告した。

 

 吹上苑は従来型50人(平均要介護度4・1)、ユニット型48人(同3・8)の施設。4種類(天井走行式、据置式、ベッド固定式、床走行式)のリフトや調整機能付き車いす、3モーター式介護ベッドなどを使い、人力で抱え上げない介護を徹底している。

 

 関口施設長は「仙骨座りの利用者や腰痛を抱える職員を何とかしたいと思っていた時に、調整機能付き車いすを使ったシーティングに出会ったのが機器導入の始まり」と述懐。2006年度から加島守・高齢者生活福祉研究所長を講師に機器活用を進めてきたことを紹介した。

 

 リフトについては「荷物の積み下しみたい」「時間がかかる」という職員の声があったが、「リフトの方が痛くなくて楽」という利用者の声で導入を決めたことを説明。「人力による抱え上げは利用者にも職員にも危険で、精神的・肉体的な負担も大きい」などと述べた。

 

 実際に使用している㈱シーホネンスの介護ベッド、床走行式リフト、㈱竹虎の据置式リフト、ラックヘルスケア㈱の車いす、㈱タイカのポジショニングクッションを使った実演では、2種類のリフトの特徴などを紹介。床走行式は移動できるので1台で複数人が使えること、据置式は揺れが少なく安定していること、回転スペースが必要な床走行式は多床室では使いにくいことなどを説明し、施設の環境や個々の利用者に合ったリフトを使う重要性を訴えた。

 

 また、ベッドの昇降機能を最大限に生かす「FKO式」と、つり具が張った状態になった時にフックにつり具が掛かっているかしっかり確認するという最新のリフト操作方法も紹介。FKO式は揺れが少なく、移乗時間が短くなることなどを説明した。

 

 さらにベッド上でのポジショニングでは、円背や両膝関節に拘縮などがある人のクッションの当て方などを説明。「安楽な姿勢を保持することで褥瘡を防ぎ、関節可動域も広がる」などと述べた。

 

ベッド上でのポジショニングも実演した

ベッド上でのポジショニングも実演した

 

 最後のまとめで関口施設長は「機器を使えば利用者の自立度が高まりQOLも向上する。職員の負担も軽減する」などと効果を語り、「理学療法士など専門職がいない施設は外部の指導者が必要」などと助言した。

 

◆記者のひと言

 

 吹上苑がユニット型個室で行っているケアは、貸与制度を使えば在宅にそのまま導入することができる。地域包括ケアには機器活用が不可欠だ。在宅にノウハウを伝えることが施設の専門性であり、それが社会福祉法人の社会貢献につながるのではないか。

 

 

 

関連書籍

 

 

車いす・シーティングの理論と実践
澤村 誠志
はる書房
売り上げランキング: 403,115

 

こうして防ぐ!介護作業の腰痛・転倒
中央労働災害防止協会
売り上げランキング: 1,080,380
    • このエントリーをはてなブックマークに追加