ヒヤリハット増えれば介護事故は減る 東京・世田谷の特養が報告

2015年1112 福祉新聞編集部
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【 砧ホームのヒヤリ・ハットと事故件数の推移】
【 砧ホームのヒヤリ・ハットと事故件数の推移】

 施設における介護事故はヒヤリ・ハット件数の増加とともに減る傾向にある−。東京都世田谷区の特別養護老人ホーム「砧ホーム」(宮崎浩園長、60床)が、9月に都内で開かれたアクティブ福祉in東京’15(東京都社会福祉協議会など主催)でこんなデータを発表した。

 

 同ホームでは2009年度、5カ年計画で「オムツゼロ」(オムツをなくしトイレ排せつ促進)活動をスタート。達成率は翌年度の30%から2014年度には88%へ上がった。それに伴い10年度22%だった歩行者の割合も12年度は58%に。

 

 ところが13年5月、利用者をベッドから車いすへ移乗介助中に転落(大たい部骨折手術)させた。これを機に2カ月後、介護安全週間を新設。前週から要所に「安全はすべてに優先する」と掲示したうえ、当該週には毎朝唱和し、ヒヤリ・ハット事例を全員その日のうちにパソコン入力、アザなどは写真に記録した。次週に介護職へアンケートして整理し、月2回のリーダー会議などで検討を重ねてきた。

 

 その結果、12年度269件あったヒヤリ・ハットは13年度508件、14年度753件と2・8倍に増えた。一方、同期間中の事故は45件→40件→17件と約6割も減少=図参照。17件の内訳は医療機関受診12件、うち1件は大たい部骨折手術だった。

 

 鈴木健太・介護部長(45)は「オムツを外した利用者がトイレなどへ歩き出すと事故の増加を連想する。しかし、必ずしもそうならなかった。ヒヤリ・ハットを減らすのではなく逆にその気付きを誘導したことである程度、さらなるヒューマンエラーや次の段階の重大事故へつながる芽を摘んでいる可能性もある」とリスク感性の向上効果を指摘している。

 

 安全教育に使われる「ハインリッヒの法則」によれば、300件のヒヤリ・ハットの気付きで29件の軽傷事故、1件の重大事故を防ぐといわれる(1:29:300の原則)。しかし、重大事故と軽傷事故の原因はそもそも別といった考え方もあり、「最後は専門職の専門性として安全を諦めずに追い求める態度が重要」(鈴木部長)という。

 

 砧ホームには60床のほかショートステイが4床あり、入所者は平均年齢87・8歳、要介護度4・0。介護職26人(平均年齢39・0歳)を含め看護・機能訓練指導員ら常勤・非常勤計38人。

 

 

 

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