「ソーシャルワーク教育は失敗」 『下流老人』著者の藤田氏が持論

2015年1118 福祉新聞編集部
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登壇した藤田氏
登壇した藤田氏

 日本社会福祉教育学校連盟(会長=二木立・日本福祉大学長)は10月30日、創設60周年を記念し、同志社大(京都市)で歴代会長による対談を行った。同日夜、同大で開かれた祝賀会には日本社会福祉士会、日本精神保健福祉士会など職能団体の幹部も駆け付け、学校連盟を含むソーシャルワーカー養成3団体の統合にエールを送った。

 

 大学の教員ら約40人が参加した会長対談で、大橋謙策・東北福祉大大学院教授(2007~09年の会長)は「社会福祉士ができてから、(大学での教育は)福祉制度の解説にとどまっている。社会福祉士を作ったことが間違いだったかとすら思う」と話した。

 

 そのうえで「我々教員は抽象的な話ではなく、ソーシャルワークの楽しさ、怖さ、醍醐味を学生に伝えていかなくてはならない」と呼び掛けた。

 

 黒木保博・同志社大教授(05~07年の会長)は自身が事務局長に就いた08年以降、学校連盟が厚生省と文部省(いずれも当時)の共管による社団法人化を目指したものの、03年に文科省単独所管の社団法人になった経緯を振り返った。

 

 学校連盟は日本社会福祉士養成校協会(社養協)、日本精神保健福祉士養成校協会(精養協)と17年4月に統合することが決定済み。黒木教授は「引き裂かれた団体がやっと一つになる。心の底から喜んでいる」と話した。

 

 学校連盟は1955年5月に日本社会福祉学会から分離独立した日本社会事業学校連盟が前身。社会福祉学の教育の質的向上を図る学術研究団体で、正会員は147校(15年6月現在)。

 

左から二木、黒木、大橋、野村、大嶋の各氏

左から二木、黒木、大橋、野村、大嶋の各氏

 

「SW教育は失敗した」

 

 翌31日・11月1日は統合予定3団体主催の全国社会福祉教育セミナーが同大で開かれ、教員や学生ら約420人が参加。初日は生活困窮者を支援するNPO法人ほっとプラス(さいたま市)の代表理事で、『下流老人』(朝日新書)の著者、藤田孝典氏が基調報告、シンポジウム、分科会に登壇した。

 

 社会福祉士の藤田氏は「私は社会福祉学部、大学院を修了したが、面白くなかった。制度の解説、面接技術などミクロレベルの技術に傾倒していた。ソーシャルワーク教育は失敗したと言わざるを得ない」と話した。

 

 また、学説などの論争が見られない福祉の業界体質にもメスを入れ「対等で緊張感のある激しい議論や批評がない業界に発展はない」と指摘。著名な学者にも遠慮せず論争を挑むべきだとした。

 

 2日目は、9月17日に厚労省が発表した「新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」を読み解く緊急企画を開催。学校連盟の二木会長はこのビジョンが福祉人材の養成にメスを入れるものと受け止め、危機感をあらわにした。統合予定の養成3団体はこのビジョンへの対応を協議するため、特別委員会を設ける予定だ。

 

 

 

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