日本初の重症心身障害児者通所施設 「朋」が出来て30年

2015年1225 日浦 美智江・社会福祉法人訪問の家理事
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日浦美智江 訪問の家理事(横浜市)

 今年は、社会福祉法人訪問の家の日本で初めての重症心身障害児者通所施設「朋」(横浜市栄区)が出来て30年がたつ。開所時、重症心身障害児の通所施設は法律にないということで、法律的には精神薄弱者通所更生施設(当時)という形で認可を受けた。精神薄弱者施設なのに玄関先に車いすが何台も並んでいたのだからおかしな施設だった。当時医療に守られた入所施設で暮らすのがふさわしいとされた人たちへ、日中活動、社会参加、地域生活という言葉を使ったのだから、関係するドクターたちから無謀な試みだと非難されたことも今は懐かしい思い出となった。

 

 一方、障害者施設ということで地域の反対にあう体験もした。中学校の体育館で行われた説明会では「障害者施設に反対はしないがここでなくてもいいではないか」「施設が出来たら散歩に出るのか」などの意見の中で「どんどん出てきてください、そしてお友達になりましょう」と大きな声で言ってくれた若い女性の声を忘れることが出来ない。

 

 反対はおかしい、と積極的に障害児者のことを知りたいと勉強会を始めた20人近い主婦の方たちが、開所後ボランティアとして積極的に朋の中に入ってくださった。そのグループから高齢者関係のボランティアも生まれ、現在に至るまで積極的に朋を始め地域の福祉施設にかかわってくださっている。区内のボランティアの数は横浜市18区の中で2番目に多い。

 

 更に、メンバーたちはあの女性の声を信じて、どんどん地域に出て行った。公園でたこ揚げをしたり、スーパーマーケットに買い物に出掛けたり、地区の行事には積極的に参加し、地区の皆さんと仲良くなった。今年も地区の夏祭りには公園の中は車いすとストレッチャーでいっぱいだった。

 

 重症心身障害児者に医療は欠かせない。医療がイニシアチブをとるのではなく、地域生活が可能なようにサポート役をしてほしいと2階に作った朋診療所が朋のみんなの健康を支えてくれた。

 

 生活のすべてに介助を要し、医療的ケアを要する人も多い重症心身障害児者。彼らは生活のすべてを他の人に委ねながら、おおらかで屈託のない笑顔を見せてくれる。命はそこにあってこそ命となる。その命のおおらかな笑顔を地域での出会いの中で更に広げていきたいと願っている。

 

151221談話室02

 

 

 

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