新春対談「1億総活躍社会と福祉」① 新3本の矢は手段であり目的

2016年0104 福祉新聞編集部
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
対談の様子、右が衛藤氏

 安倍政権は「1億総活躍社会」を目指して「新3本の矢」を放ちました。第2の矢「希望出生率1・8」、第3の矢「介護離職ゼロ」は社会福祉法人にも大きくかかわる施策です。ここ数年、批判的な見方をされてきた社会福祉法人にとって千載一遇のチャンスとも言えます。しかし、大都市の福祉現場は土地や建築費が高くて保育所、介護施設を建てにくく、さらに低い待遇による人手不足は深刻です。そこで衛藤晟一・内閣総理大臣補佐官と、磯彰格・全国社会福祉法人経営者協議会会長に、社会福祉法人は「新3本の矢」をどう受け止めるべきか、担うべき役割は、などについて語っていただきました。(聞き手は、松寿庶・本社社長)

 

160104表

 

新3本の矢

 

松寿 アベノミクス第2弾「新3本の矢」の狙いは何でしょうか。

 

衛藤 第1弾の「3本の矢」では、円高・デフレを解消して日本経済を立て直そうと「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」に取り組みました。多くの成果が出ていますが、成長戦略は必ずしも完成していません。

 

 そこで、より具体的に国民の生活に照らして政策を考える中でできたのが「1億総活躍社会」です。高齢者も若者も障害者も、誰もが生きがいを持って暮らせる社会を目指します。

 

 その実現のため、新3本の矢で「成長と分配の好循環」を作り出します。2020年ごろまでに向けてGDP600兆円を目指し(第1の矢)、強い経済による成長によって、子どもを安心して産めるように支援し(第2の矢)、介護のための離職をなくす環境を整備します(第3の矢)。

 

 具体的には、2017年度末までに40万人分の保育の受け皿を整備する計画を50万人分に、2020年代初頭までに整備する約38万人分の介護の受け皿を約50万人分に増やすことにしました。

 

 子育てや介護の心配がなくなることで将来の見通しが明るくなり、消費が拡大され、経済の好循環が強化されるという狙いです。

 

 子育てと介護は年金、医療とともに社会保障の根幹ですので、新3本の矢は手段でもあり、目的でもあるわけです。

 

 ここ数年、社会福祉法人への批判的な報道がありましたが、新3本の矢が、保育と介護という福祉分野に踏み込んで提案されたことは、社会福祉法人が総活躍できる可能性が広がると捉えています。

 

 当然、我々も実現に向けて努力していきます。その中で人材の確保や処遇の問題などについてはしっかり訴えていきたいと思います。

 

 

 

【衛藤 晟一・内閣総理大臣補佐官】1947年、大分県生まれ。70年に大分大卒業。大分市議会議員、大分県議会議員(2期)を経て、90年から衆議院議員(自民党)を4期務め、厚生労働副大臣などを歴任した。2007年から参議院議員となり、2012年12月に内閣総理大臣補佐官に就任。現在、文教科学委員会委員、党障害児者問題調査会会長なども務めている。

 

【磯 彰格・全国社会福祉法人経営者協議会長】1960年、兵庫県生まれ。86年に関西医科大卒業、95年に医学博士。同年から社会福祉法人南山城学園(京都府)の理事長を務め、現在、障害者施設、保育園、老健施設など約40事業所を経営。2015年2月に法人創立50周年を迎えた。全国社会福祉法人経営者協議会会長には15年5月に就任した。

 

 

 

 

関連書籍

 

社会福祉法人ハンドブック 七訂版: 設立・会計・税務
実藤 秀志
税務経理協会
売り上げランキング: 130,656

 

やさしくわかる 社会福祉法人の経営と運営
平林 亮子 高橋 知寿
税務経理協会
売り上げランキング: 45,737

 

もう「知らない」ではすまされない社会福祉法人の不正防止・内部統制・監査
全国社会福祉法人会計研究会
清文社
売り上げランキング: 291,748
    • このエントリーをはてなブックマークに追加