新春対談「1億総活躍社会と福祉」③ 特養などの整備を後押し

2016年0106 福祉新聞編集部
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磯氏

介護離職ゼロ

 

松寿 介護施設の充実には整備対象に特別養護老人ホームが入っています。

 

衛藤 待機児童の問題と同じで、東京を中心に大都市で高齢者が大量に増えてきますので、それに対応できるよう特養などを整備しなくてはいけません。大都市ではやはり、土地や建物の費用、人材の確保が難しいので、国がバックアップしていきます。

 

 具体的には、国有地を安い賃料で貸したり、借りた建物でも特養を運営できるよう規制緩和したりする案を検討しています。もちろん、東京都や23区、政令市などの協力が不可欠です。また、施設サービスと合わせて、地域包括ケアの面から在宅サービスも充実させ、両輪で環境を整備していきたいと思います。

 

 多様なサービスの創出が図られることで実現されるものと考えています。その中で特養は社会福祉法人しか運営できないわけですから、社会福祉法人が意欲的に取り組んでいかないといけません。取り組むために、土地代、整備費の補助、人手の確保、職員の賃金などについてクリアすべき条件を示しながら、積極的な働き掛けをしていきたいと思います。

 

松寿 法人が手を挙げて取り組むということであれば、社会貢献を果たすことにもつながると思いますね。

 

衛藤 東京圏での特養整備に、経営的に余裕のあった地方の法人が進出したケースもありますが、限界がきているようにも見えます。

 

 東京なら東京の法人が特養や保育所を運営できるような体制が良いのかもしれません。

 

 1人の要介護者にかかるトータルコストは、入所より在宅の方が高くなるというデータもあるようです。また、現状の介護報酬体系では、小規模の特養は単体での採算はなかなかとれません。経営側から見て、課題解決を優先するなら、広域型で定員100人ぐらいの特養を併せて整備していくことも一策かと思います。

 

 実は私の法人と京都市で小学校跡に保育所と特養の複合施設を検討しましたが、土地の賃借料が高くなるなどの理由で断念しました。多少の余裕財産があったとしても都市部では厳しいのが現状です。

 

 このあたりは国などの支援があれば何とかクリアできると思います。配置基準や建物基準などに関して知恵を絞れば、特養整備にかかる費用が一定程度落とせる可能性も出てくるでしょう。

 

衛藤 小規模多機能型は地域の交流という意味では非常に有効な方法ですが、小さいなりの加算をしないと成り立ちにくいですね。

 

 東京都やその周辺、政令市では、圧倒的に介護施設が足りないことを考えると、小規模多機能型ではなく、広域型の特養を造っていく必要性が高いのかもしれません。このあたりは50万人の整備計画の中でしっかり検討して整理しなくてはいけないと思います。社会福祉法人にお願いするにしても、しっかり合意を得ながら進めていかないと大都市での問題は乗り切れないと思います。

 

 

 

【衛藤 晟一・内閣総理大臣補佐官】1947年、大分県生まれ。70年に大分大卒業。大分市議会議員、大分県議会議員(2期)を経て、90年から衆議院議員(自民 党)を4期務め、厚生労働副大臣などを歴任した。2007年から参議院議員となり、2012年12月に内閣総理大臣補佐官に就任。現在、文教科学委員会委 員、党障害児者問題調査会会長なども務めている。

 

【磯 彰格・全国社会福祉法人経営者協議会長】1960年、兵庫県生まれ。86年に関西医科大卒業、95年に医学博士。同年から社会福祉法人南山城学園(京都 府)の理事長を務め、現在、障害者施設、保育園、老健施設など約40事業所を経営。2015年2月に法人創立50周年を迎えた。全国社会福祉法人経営者協 議会会長には15年5月に就任した。

 

 

 

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