新春対談「1億総活躍社会と福祉」④ 他産業にひけをとらない賃金に

2016年0107 福祉新聞編集部
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衛藤氏

人材不足問題

 

松寿 介護人材の確保や処遇についてはどうでしょうか。

 

磯 人材確保にしても処遇にしても、我々が業界のイメージアップを図れるか、魅力ある業界に変えていけるかによる部分もあると考えています。全国経営協としても今いろんな仕掛けを準備しており、16年4月からさまざまなイメージ戦略を展開したいと思っています。

 

 また、各法人がより働きやすい職場づくりを検討していくことが必要です。賃金については可能な限りの経営努力をしなければいけませんが、月1、2万円程度上げるのがやっとだと思います。さすがに月10万円を上げることはできません。

 

松寿 年収400万円は払えるような体制を考えなくてはいけないですね。

 

 そうですね。そうなれば他産業にひけをとらない賃金水準になり、人材確保の面で競争力がつくと思います。

 

 私ども全国経営協が15年に行った1万人の生活者データによると、現状、福祉の仕事のイメージは給料が安い、体力的にきつい、精神的にもきつい。これがトップスリーですが、5位ぐらいになると人の役に立てる、貢献できるなどポジティブな回答もあります。そういった人たちを呼び込むことができるかが勝負です。これからは人材というパイの取り合いになってくるわけですから。

 

衛藤 15年4月の介護報酬改定では介護職員処遇改善加算として月1万2000円上げられるよう手当てしていますが、これで十分でないことは認識しています。介護ロボットの活用、学費貸付の拡充、ICTを活用した文書削減などさまざまな施策を講じます。

 

 一方で、非正規雇用を増やさなければ対応できないという福祉現場の現状を国民に理解してもらうよう働き掛ける必要がありますね。

 

松寿 結局、社会福祉法人にしわ寄せがきて、最終的に職員が低賃金で働いているわけですが、もう限界も近いでしょう。そうなると人件費の財源を確保する必要があります。

 

衛藤 介護保険では、低所得者の1号保険料を軽減したり、一定程度の所得のある利用者は負担を2割に上げたりしています。低所得者の負担は下げ、富裕層に少し負担してもらうということで、この差は相当開いてきました。こうした配慮は継続して行っていますが、もう少し余分に裕福な人たちに負担していただいたりするなど工夫していく必要があると思います。

 

 

 

【衛藤 晟一・内閣総理大臣補佐官】1947年、大分県生まれ。70年に大分大卒業。大分市議会議員、大分県議会議員(2期)を経て、90年から衆議院議員(自民 党)を4期務め、厚生労働副大臣などを歴任した。2007年から参議院議員となり、2012年12月に内閣総理大臣補佐官に就任。現在、文教科学委員会委 員、党障害児者問題調査会会長なども務めている。

 

【磯 彰格・全国社会福祉法人経営者協議会長】1960年、兵庫県生まれ。86年に関西医科大卒業、95年に医学博士。同年から社会福祉法人南山城学園(京都 府)の理事長を務め、現在、障害者施設、保育園、老健施設など約40事業所を経営。2015年2月に法人創立50周年を迎えた。全国社会福祉法人経営者協 議会会長には15年5月に就任した。

 

 

 

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