大規模法人への会計監査人の設置 費用の自己負担は理不尽だ

2016年0127 福祉新聞編集部
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辻村 泰範・社会福祉法人宝山寺福祉事業団 理事長

 全社会福祉法人の1割ぐらいが該当するという。9割の法人は該当しないということだ。だからといって、「1割の法人に任せておけばいい、あっしには関わりございません」でいいはずがない。その1割の法人に政府は毎年数十億円の、場合によっては100億円もの費用負担を強制しようとしている。もちろんその財源は自分で工面しろ、なのだから始末が悪い。

 

 社会福祉法改正に伴って一定の事業規模を超える社会福祉法人は会計監査人の設置が義務付けられることになっている。公益財団等でも規模の大きな法人は会計監査人の設置が義務付けられているのだから当然のことだとしても、問題はその規模だ。社会保障審議会福祉部会報告書ではサービス収益10億円を基準にすることが提案されている。しかも段階的にその規模を7億円にまで引き下げようと言うのだ。公益財団等では1000億円だから比較にならない規模だ。

 

 一部の法人で財務諸表が不正確であるという指摘が発端だというが、規模の大きな法人は大抵が会計事務所等の関与を受けているから、むしろ財務処理は正確だ。求めるべきは、すべての法人の財務諸表の正確さだ。

 

 公開されている株式市場においては、会社等の財務情報の信頼性が保証されていなければ投資家は利益を期待することはできまい。投資家の保護が公認会計士の役割だ。一方、社会福祉法人は投資の対象ではないのだから、財務情報の正確さは同様に厳しく求められなければならないとはいえ、公費を主な財源とする法人の監査の役割は第一義的には所轄庁に求めるべきだと思う。

 

 新しいマーケットに期待を抱く人も多いのだろうが、理不尽だ。

 

 

 

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