介護保険改正の議論始まる 軽度者の給付見直しへ

2016年0301 福祉新聞編集部
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厚生労働省
厚生労働省

 社会保障審議会介護保険部会(部会長=遠藤久夫・学習院大教授)が2月17日、約2年ぶりに開かれた。厚生労働省は制度改正を見据え、要介護度の低い軽度者の給付見直しや利用者負担などについて検討する意向を示した。高齢化に伴い増大する社会保障費を抑制するのが狙い。今後は月に1〜2回開催し、年内をめどに意見を取りまとめる。

 

 冒頭、三浦公嗣・老健局長は「さらなる高齢化が見込まれる中、介護保険制度の見直しは地域包括ケアシステムの推進、制度の持続可能性の確保が重要だ」とあいさつした。

 

 審議の焦点となるのは介護保険の給付と負担の在り方。制度が始まった2000年度は給付が3兆6000億円で第1号介護保険料の平均月額が2911円だったが、15年度は給付が10兆円を超え、保険料は5514円。今後も高齢化の進展により、それぞれ増えると推定されている。

 

 政府は膨らみ続ける社会保障関係費の伸びを今後3年間で1兆5000億円に抑える方針を示している。

 

 この日、厚労省は給付から外す検討の対象に、要介護度の低い軽度者へのサービスのうち、訪問介護の生活援助(掃除、洗濯、調理など)や福祉用具・住宅改修を挙げた。

 

 一方、負担では、高額介護サービス費の見直しや、介護納付金の総報酬割の導入などについて議論することを提示した。

 

 これらは昨年6月に閣議決定した「骨太の方針」などで介護保険関連の検討課題として示されていたもの。利用者負担を2割とする人の対象拡大も議論される見通しだ。

 

 委員からは軽度者サービスの縮小について「結果的に重度化のスピードを早め、介護保険財政を圧迫するのでは」「軽度者へのケアがどうなるのか不安」といった慎重意見の一方、「重度化予防に軽度者への支援が有効だというエビデンスを示してほしい」との指摘もあった。

 

 また、サービスの地域支援事業への移行も検討課題となっているため「要支援1・2の訪問介護・通所介護の移行の成果を検証してから議論すべき」という発言もあった。

 

 そのほか、介護人材確保について「1億総活躍の介護の受け皿50万人分整備に対して人材を確保できるか危惧する」「介護従事者の離職ゼロこそ重要。処遇を改善すべき」「生産性向上に最も有効なのは人材の定着」などの意見があった。また「制度は維持されたが自立支援といった理念が失われないように」という声も上がった。

 

 厚労省は同日、災害や公共事業のため本人の責任ではなく土地などを売却した場合、一時的に収入が増えても低所得者などの介護保険料や自己負担が増えないようにする方針を決めた。

 

 東日本大震災の被災地で高台への集団移転に伴い土地などを自治体が買い取る事業が行われており、その売却収入が所得とみなされるため負担が増える事例が起きている。施行は原則18年4月とし、自治体の判断により前倒しで実施することも認める。

 

 

 

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