<東日本大震災から5年> 福島の児童養護施設 人材不足に苦悩

2016年0314 福祉新聞編集部
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堀川愛生園のグループホーム。若い職員が、住み込みで子どもと付き合う楽しさを話してくれた。左は伊藤施設長

 「相変わらず食品検査や空間放射線量のチェックに気を遣う毎日です。同じことを続けなければならないのが福島の大変さです」。

 

 1年ぶりに会った神戸信行園長が言う。

 

 48人の子どもが少人数グループで暮らす児童養護施設「青葉学園」(福島市)では、放射能による健康被害から身を守る取り組みが日常となっている。

 

 原発事故後の5年間−行政と連絡が取れないほどの時は施設長判断の1次避難を認める「原発事故にかかわる緊急時の対応マニュアル」を県などと協議して作成。除染してもホットスポットは生じるため、屋外の洗濯物干し場は地面をコンクリートで覆うなどの手当てもしてきた。

 

 放射能に対する知識は初めからあったわけではなかった。県内に八つある児童養護施設を「福島県の児童養護施設の子どもの健康を考える会」(福島市)が医療看護の知識を持ってサポートしている。

 

 同会が行うのは甲状腺エコー検査、尿中セシウム検査、等々。結果や成長発達などは一人ひとりに作った「健康手帳」に記録、電子化もした。将来は自ら健康管理できるよう卒園時に手帳を贈る。

 

 ただ、健康被害の出現は長期間気に掛ける必要があり、特に年1回のエコー検査は卒園生にも施設職員から連絡して受けに来てもらう。その交通費は同会が援助したり、施設職員が最寄り駅まで車で迎えに行ったり心を砕く。澤田和美・同会共同代表は「卒園しても相談や支援につながれる『アフターケア』が課題」だと指摘する。

 

 急性期は乗り越えたが、神戸園長が口にした「忘れられていく心細さ」。そして「福島ゆえの人材不足」に拍車が掛かっている。

 

                  ◇

 

 児童養護施設「堀川愛生園」(棚倉町)は、1945年の創設時から小舎制を貫く。住み込みの職員が家族のように子どもと起居を共にし、現在は35人の子どもが6ホーム(本園4軒、グループホーム2軒)で暮らす。

 

 愛生園は2012年度の改築事業できれいに整備されたばかり。にもかかわらず、来年度からは本園で1軒減らし、5ホームでの運営に効率化せざるを得なくなった。

 

 震災当時16人いた直接処遇の職員が、現在は12人に減少。伊藤信彦施設長によると、6ホームの場合、最低でも1ホーム2・5人(15人)態勢を組みたいが2人態勢で乗り切っており、「職員が持たないと子どもに影響してしまう」と話す。

 

 原発から約80㌔の距離があり、放射線量も高くない方だが、大学の教師や学生の親らは就職先として福島を勧めたがらないという。

 

 愛生園では、子どもとの生活が濃密な分、職員が悩みを抱え込まないよう話を聞き合う時間も大事にする。ここでの実践に魅力を感じる人が県内外から集まってきては、ベテランから若手へと受け継がれてきた。

 

 伊藤施設長は「『福島』の『施設』で育った子がいわれ無き差別を受けないようにしたい。虐待を受けるなどしてここに来た子たちは細やかなケアが必要」と、住み込みを必須としない働き方も模索しながら人材確保に臨む覚悟をみせる。

 

青葉学園にあるモニタリングポスト。今も毎日、線量に気を配る

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