介護保険の行方は 財務・厚労省が市民集会で回答
2016年04月19日 福祉新聞編集部
介護保険について国は今どんな議論をしているのか、課題は何かを共有しようと市民福祉情報オフィス・ハスカップ(主宰=小竹雅子氏)が5日、国会議員会館で集会「どうなる介護保険?」を開いた。ハスカップは事前に財務・厚生労働両省に22の質問を投げ掛け、同日は両省の回答を聞いた。
財政制度等審議会が2016年度予算編成に関する建議(15年11月)で、介護保険利用料の原則2割負担を検討・実施すべきと提案したことに関する質問に財務省は、「世代間の公平な負担(特に1号・2号被保険者間)の観点から提示した。利用者負担を払えず介護サービスを利用できない人への対策は必要かもしれないが、負担を2割に上げることで必然的に利用できない人が非常に増えるとは考えていない」と答えた。
同建議で、軽度者の生活援助サービスや福祉用具貸与、住宅改修を原則自己負担(一部補助)化すべきとしたことへの回答では「全額自己負担は意図していない。福祉用具貸与や住宅改修の価格への関心が薄く、購入より貸与の方が高額のケースもある。利用者らに総額を知って判断してもらうため、一度全額を払ってもらい後で補助する形もあり得ると考えた」とした。
また厚労省の保健医療2035提言書(15年6月)が、ケアプラン作成の利用者負担に言及したことに関する質問に厚労省は、「介護保険を含め社会保障制度の持続可能性を中長期的に高めていく観点から出たもの。介護保険部会などの議論でも賛否がある。現時点で方針は決めていない」と答えた。
このほか介護予防や地域ケア会議、認知症施策などに関連した質問への回答もあった。
最後に主催者側として小島美里・認定NPO法人暮らしネット・えん代表理事(埼玉県)が「介護予防と重度化対応に重点が置かれているが、地域にはその間にいる要介護者が多い。この人たちをどう支えるのか」と話した。
介護保険をめぐっては厚労省の社保審介護保険部会が今年中に見直しの報告書をまとめることになっている。
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