障害者らが空き店舗活用しパン屋やピザ屋 仮設住宅へ移動販売も(宮城)

2016年0427 福祉新聞編集部
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愛想がよくお客さんに慕われている松浦達さん

 「2018年4月に工賃と年金を合わせて障害者の月収10万円を実現する」。宮城県角田市にある社会福祉法人臥牛三敬会(湯村利憲理事長)は明確な目標を掲げている。原動力は「利用者が親亡き後も地域で当たり前に生活できるようにしたい」という思いだ。

 

 法人は現在、2市1町で五つの施設(就労移行支援、就労継続支援B型)と三つのグループホームを運営している。利用者は全体で173人いる。

 

 
 就労系事業の主力は年間売上約2400万円のパン製造。種類は30以上あり、宮城県産の小麦粉を使い無添加。モチモチした食感でほんのり甘く、評判も良いという。1日650個以上を利用者5人と職員4人で作る。店舗「がぎゅうベーカリー」で販売するほか、生協や企業などに外販している。

 

 法人では障害の状態に合わせて働けるよう企業の下請けの仕事なども行っているが、店舗型を中心に展開しているのが特徴。石窯で焼いたピザを食べられる「ぱぴハウス」、ジェラートやシフォンケーキの店「にじいろカフェ」など計8店舗ある。湯村理事長は「空き店舗を活用すればコストを抑えられる。何より地域の営みの中で活動することを大切にしている」と話す。

 

買い物弱者を支援

 

 東日本大震災では3店舗が津波の被害により閉店を余儀なくされた。年約2500万円の減収となったが、1カ月後には移動販売を始めた。

 

 買い物が不自由な「買い物弱者」の多い地区や仮設住宅を回り、自法人のパンやお弁当、地元の商店から仕入れた肉やお惣菜などを販売する。1日約30軒、家の前まで行く。午前中の注文は午後には届ける。定期的に訪ねるので高齢者の見守りにもなっている。

 

 ここでも意識するのは地域。「地元の個人商店から仕入れることで地域とつながりができるし、我々のことを理解してもらうきっかけにもなる」と湯村理事長は言う。

 

 

移動販売先ですぐにお客さんと打ち解ける大越尚美さん

移動販売先ですぐにお客さんと打ち解ける大越尚美さん

 

地域の憩いの場に

 

 現在、利用者の平均時給は325円。18年4月の目標は405円だ。1日4時間半働いて月額工賃(20日勤務)が約3万6000円になる。それに障害基礎年金を合わせて10万円を達成する。

 

 震災の影響で時給を下げざるを得ず、計画も延びてしまったが、既に減収分は回復した。近く新たな事業も行う予定だという。

 

 また店舗は、地域の人が創作活動をする場として、陶芸などの体験教室や絵画などの作品展に広く活用してもらい、地域の憩いの場にしていく。

 

 目指すのは法人も障害者も当たり前に「地域で生きる」ことだ。

 

 

パン製造で一番の戦力の 渡辺さゆりさん

パン製造で一番の戦力の
渡辺さゆりさん

 

 

 

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