定住外国人に日本語教室 社会福祉法人などが地域で介護人材育てる

2016年0520 福祉新聞編集部
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ボランティアが日本語教室の助手をしている

 介護の仕事をしている、または関心のある定住外国人向けに日本語教室(外国人介護従事者等に対する日本語学習支援事業)が毎週金曜日、東京都墨田区で開かれている。運営するのは社会福祉法人、大学、ボランティアが連携する「すみだ日本語教育支援の会」。地域で介護人材を育てようと取り組んでいる。

 

◆読み書き苦手

 

 4月8日の教室には11人が集まった。全員女性。子どもをもつ40代以上が多い。国籍は大半がフィリピンで、タイやペルーの人もいるという。リラックスした雰囲気の中、日本語教師2人、助手のボランティア3人から教わる。

 

 彼女たちは日本語を話せるので生活で困ることはない。問題は読み書きだ。日本語教師の中野玲子さんは「話は聞けるけど書けない。そのため、うそをついた、真面目に仕事をしていない、と誤解されてしまう」と話す。

 

 教室は4コマある(表参照)。「文章」のコマでは、中野さんらが介護福祉士国家試験の事例問題を参考に分かりやすい単語や文に置き換えた教材を使う。例えば「妻を亡くして」を「奥さんが死んでから」といった具合。一人ひとりカリキュラムが違うので休んでも自分のペースで学べる。

3面表

 

◆適性はある

 

 教室を開くきっかけは、2005年に社会福祉法人賛育会の特別養護老人ホームたちばなホームで外国人を雇用したこと。仕事は真面目で問題ないが、読み書きができず勉強する場もなかった。それを知った宮崎里司・早稲田大大学院日本語教育研究科教授が協力して日本語教室を開講。高齢者のボランティア団体「てーねん・どすこい倶楽部」も加わった。都と区から合計年200万円の補助を受け、受講は無料だ。

 

 同ホームでは現在、介護職36人のうち8人が外国人。羽生隆司・施設長は「外国人には細かな指示まで伝わりにくいが、適性はある。適性があれば日本人でも外国人でもいい」と話す。記録や服薬管理などは日本人職員が担当するが、利用者に積極的にかかわり、レクリエーションでは元来の陽気さで盛り上げてくれる。

 

 同ホームで働く繁富ジーナさん(49)は来日20年。3人の子どもがおり、別の特養で働いた経験もある。「介護福祉士試験の勉強をしたくてもどこで学んでいいか分からなかった」と言う。中野リアンさん(38)は在宅介護の仕事をして7年。週6日働く。子どもは2人。「教室はすごく楽しい。介護福祉士を目指して頑張る」と話す。

 

◆受験に新たな壁

 

 これまで介護福祉士を3人が取得した。彼女たちは実務経験を経て受験資格を得たが、今年3月の法改正により、16年度試験から実務経験3年以上の人は実務者研修が必須になった。受験へのハードルが高くなったことに中野さんは「彼女たちは経済的にも厳しいし、忙しい中でモチベーションを保てるのか心配」と嘆く。

 

 それでも彼女たちは今年4月、地域との理解を深めたいと外国人介護職のボランティアネットワークを立ち上げた。高齢者施設での出し物や地域の見守り、子どもの英語講師などを行う。

 

 教室では08年8月の開講以来、100人以上が学んだ。地域の福祉・教育関係者、住民が連携した「すみだモデル」は、技能実習生の受け入れを模索するなどさらなる広がりが期待される。

 

利用者に積極的にかかわる繁富ジーナさん(右)

利用者に積極的にかかわる繁富ジーナさん(右)

 

 

 

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