改正発達障害者支援法が成立 就労定着の強化へ

2016年0607 福祉新聞編集部
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国会議事堂

 自閉症の人などへの早期発見などを定めた発達障害者支援法の改正案が5月25日、参院本会議において全会一致で可決、成立した。国や都道府県が就労機会を確保するとともに、定着支援を強化する。付帯決議は6項目付いた。

 

 10年前に策定された同法が見直されるのは、今回が初めて。障害者権利条約を批准したことなどを背景に、超党派で構成する「発達障害の支援を考える議員連盟」(尾辻秀久会長)が改正案を検討していた。

 

 改正法は、就労と教育支援を強化することなどが柱。子どもから高齢者までどのライフステージでも切れ目のない支援を目指す。

 

 就労支援については、自治体が都道府県に発達障害者支援地域協議会(仮称)を設置できることとし、関係機関の連携を促進する。また就労機会の確保や、職場での定着支援などを規定。事業主についても、発達障害者の特性に応じた雇用管理を求めた。

 

 教育に関しては、学校が発達障害児の長期個別計画を作成する。福祉関係機関との情報共有や連携も推進し、いじめ対策も強化する。

 

 このほか、発達障害者の特性に配慮した刑事捜査についても盛り込まれた。

 

 一方、付帯決議は6項目付いた。

 

 発達障害者やその家族に対する心のケアも含めた相談体制の構築や、学校の教職員への発達障害に関する研修の実施が盛り込まれた。

 

 また、発達障害者の多くが障害者手帳を所持していないことから、障害者手帳について在り方を検討することや、発達障害の定義の見直しについても言及した。

 

付帯決議の内容

 

(1)発達障害と診断された者およびその家族が適切な支援を受けることができるよう、ペアレントメンター等による心のケアも含めた相談・助言体制構築の支援を強化すること。その際、個々の障害の特性や家庭状況に対応できるよう、夜間等の相談・助言体制の構築についても留意すること。

 

(2)小児の高次脳機能障害を含む発達障害の特性が広く国民に理解されるよう、適正な診断や投薬の重要性も含め、発達障害についての情報を分かりやすく周知すること。特に、教育の場において発達障害に対する無理解から生じるいじめ等を防止するには、まずは教職員が発達障害に対する理解を深めることが肝要であることから、研修等により教職員の専門性を高めた上で、早い段階から発達障害に対する理解を深めるための教育を徹底すること。

 

(3)発達障害者の就労機会の確保および職場定着のためには、個々の障害の特性に配慮した良好な就労環境の構築が重要であることに鑑み、職場におけるハラスメント予防のための取り組みやジョブコーチ等を活用した相談・助言体制の一層の充実を図ること。

 

(4)発達障害者が持つ障害の程度は個人によって異なるため、就労および就学を支援する上では主治医や産業医等の産業保健スタッフおよび学校医等の学校保健スタッフの役割が重要であることに鑑み、これらの関係者が相互に連携を図りながら協力できる体制を整備するとともに、産業保健スタッフおよび学校保健スタッフが受ける発達障害者の雇用や就学に関する研修について必要な検討を行うこと。

 

(5)地方公共団体により障害者手帳の取り扱いの状況が異なることおよび発達障害者の多くが障害者手帳を所持していないこと等の実情に鑑み、障害者手帳について在り方を検討すること。

 

(6)個々の発達障害の原因究明および診断、発達支援の方法等に関する調査研究を加速・深化させるとともに、発達障害に関する症例を広く把握することにより、不足している分野における調査研究に重点的に取り組むこと。また、これら調査研究の成果や国際的動向等も踏まえ、常に施策の見直しに努めること。その際、発達障害の定義の見直しにも留意すること。

 

 

 

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