原爆慰霊碑の「友石」

2016年0622 日浦 美智江・社会福祉法人訪問の家理事
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日浦美智江 訪問の家理事(横浜市)

 社会福祉法人訪問の家・朋の南門に「朋 生きる力いっぱい生きる」と彫った御影石の大きな石碑があります=写真。その石碑の横には「この銘石は平和を祈る広島原爆の慰霊碑改築の際使用された石の一部です 寄贈 ㈱岩崎大理石」という字が彫ってあります。

 

 この石碑は私の高校の同級生、岩崎大理石社長、岩崎治氏から贈られたものです。朋の開所何年か前、当時の広島の原爆慰霊碑にひびが入ってきたということで新しく石で原爆慰霊碑を作り変える依頼が広島市からあった、名誉なことだとふさわしい石を探している、とは聞いていました。

 

 朋の開所間際、朋の話を聞いていた彼から「命を大切にするのは広島も朋も同じ。慰霊碑を作った残りの石で記念の石碑を贈りたい。そこになんという字を彫るか急いで教えてほしい」という電話がありました。

 

 びっくりしましたが、朋にとってもありがたいお話。書いてもらう文字は、重い障害のある子どもたちと家族と歩きながらいつも心の中にあった「生きる力いっぱい生きる」という言葉を書いてもらいたいと、大急ぎで鉛筆で書いてファクスで送りました。

 

 残りの石と聞いていたので大きくても1㍍四方くらいかと想像していた私に「会社のクレーンカーで社員が2人ついて早朝6時に朋に到着」と彼から連絡が入った時は、お礼を言うどころか、どんなものが来るのか、驚きを通り越し戸惑ったのを覚えています。

 

 当日、早朝ということもあり、私が一人でドキドキしながら石碑を迎えました。ゆっくりとクレーンで持ち上げられた石碑は想像を超え、畳1畳は優に超えるずっしりとした台形です。どこに置くのか、一度決めたら二度と移動はできません。南門の左手の築山の上にクレーンでゆっくりゆっくり建物に正面を向けて降ろしてもらいました。なんと見事な石碑(同じ石から作られたものを「友石」と呼ぶと後で聞きました)、言葉にならない感謝が沸き上がり涙が出ました。

 

 岩崎さんは2年前に亡くなりました。被爆者でもある彼が「命の大切さは同じ」と贈ってくれた石碑、今年オバマ大統領が広島の慰霊碑の前に立たれました。彼はどんな思いでこの光景を見ているだろうと、自らノミをふるったと聞いた彼の心を思いました。慰霊碑の友石はこれからも朋の、そして法人の守り神としてみんなを見守ってくれると信じています。

 

社会福祉法人訪問の家にある石碑

社会福祉法人訪問の家にある石碑

 

 

 

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