江戸川区社協がつながりの拠点を開設 全世代対応型の地域包括ケアへ

2016年0704 福祉新聞編集部
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なごみの家(松江北)

 子どもからお年寄りまで誰でも気軽に立ち寄れる居場所「なごみの家」がこのほど、東京都江戸川区内にオープンした。区の補助を受け、区社会福祉協議会が運営する。さまざまな相談を受ける窓口となり、地域の福祉関係者のネットワークを築く。独居高齢者の見守り、子ども食堂や学習支援も展開するなど、全世代に対応できる地域包括ケアシステムの核と位置付ける。

 

 

 空き店舗などを改装したなごみの家は5月7日に小岩、松江北、長島桑川の3カ所でオープン。開館は火曜日から日曜日の9時から17時半で、月曜日、祝日は休み。看護師や社会福祉士などの資格を持つ区社協職員4~5人が常駐する。

 

 区内には医療や介護、生活上の悩みなどを相談できる窓口が既にある。大規模団地のサロンなど居場所もある。しかし、それらは対象者を絞った縦割りの制度や一部の地域に限ったものだ。

 

 一方、なごみの家は「既存の社会資源に横串を刺すもの」(深津康二・同区社協事務局長)だ。医療・介護分野で提唱される地域包括ケアシステムを、高齢者だけでなく全世代に対応できるものにするための核だという。

 

 人口69万人の同区は16年度からの新規予算としてなごみの家の家賃、人件費、事業費など1億1220万円を計上。「地域の問題は地域で見つけ、地域で解決する」(同区福祉推進課)ため、2025年までに15カ所に増やす方針だ。

 

 平時の独居者見守り

 

 なごみの家での相談は無料。受け付けた相談は区役所の窓口につないだり、地域の関係者が集まる定期的な会議で議論したりする。キーワードは「つなぐ」で、そのために人が集う仕掛けを用意する。

 

 だからと言って、相談者が来るのを待っているだけではない。

 

 同区が災害時要援護者名簿の登録者に平時の見守りを望むか尋ねたところ、①要介護3以上の一人暮らし高齢者②75歳以上のみの世帯③重度障害者−のいずれかに当たる1万5000人が同意。今年6月に「見守り名簿」が出来上がった。

 

 なごみの家はこの名簿をもとに、7月から職員が各家庭を訪問する。それぞれの担当地域の対象者全員と顔を合わせる。ケースによってはボランティアの力を借りながらかかわりを継続する。

 

 子ども食堂・学習支援

 

 「ぼくにもハチミツをかけてください」−。6月22日18時、なごみの家(長島桑川)で「子ども食堂」が開店すると、子どもの声が弾んだ。4年ほど前から各地で広がる子ども食堂だが、社協の運営は珍しい。

 

 この日のメニューはカレーライス、サラダ、ヨーグルト。高校生までの子どもが対象で1食100円、同伴の保護者は300円。事前申し込み制で定員は10人。帰宅時には保護者の迎えが必要だ。

 

 月1回程度の子ども食堂に加え、7月からは毎週土曜日の午前中に高校生までを対象とした無料の学習支援(定員10人)を始める。ノウハウを持つNPO法人に同区社協が委託し、講師を招く。

 

 子ども食堂、学習支援に掛かる費用は、寄付を原資とした区社協の「子ども未来基金」(約3000万円)から出す。都内でも比較的住民同士のつながりが強く、助け合い精神の旺盛な同区ならではの取り組みだという。

 

 政府方針とも合致

 

 こうした動きは政府の方針とも合致する。

 

 厚生労働省は15年9月、介護や保育など複数の福祉サービスを1カ所で提供できる全世代対応型の新しい福祉ビジョンを発表。相談窓口についても対象者を問わない包括的なものを目指すとした。今年7月中にも省内幹部が具体的に検討する本部を立ち上げる。

 

 また、16年度からの新規事業として、学習支援や食事提供などを行う「子どもの居場所」の整備を始めた。主にひとり親家庭の子どもが通うと想定し、おおむね19年度までに年間延べ50万人が利用できることを目標としている。

 

なごみの家(長島桑川)の外観

なごみの家(長島桑川)の外観

 

 

 

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