更生保護と福祉が接近 刑の一部執行猶予スタート

2016年0711 福祉新聞編集部
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更生保護施設両全会は、薬物離脱プログラムを実施している

 今年6月1日、刑の一部執行猶予制度が施行された。一定の要件を満たす場合に刑の一部を猶予し、社会内処遇により更生を促す同制度は主に覚せい剤などの薬物依存症者を対象と想定。法務省と厚生労働省は昨秋、その支援の関係機関として福祉事務所などを挙げた地域連携指針を作った。刑務所を早期に出所する薬物依存症者の増加を見据え、更生保護関係者による障害者グループホーム(GH)運営も始まるなど、更生保護と福祉が一段と接近してきた。

 

「お友達と会うので出掛けます。晩ご飯はいりません」。「帰りが遅くなるようなら必ず電話して」−。

 

 都内の障害者GHで暮らす女性が外出する際の、職員とのやりとりだ。GHは2階建てで個室が4部屋ある普通の住宅に見える。

 

 購入したのは社会福祉法人でも株式会社でもない。来年、創設100年を迎える更生保護法人両全会(東京都渋谷区、小畑輝海理事長)だ。

 

 GHを運営するのは小畑理事長が代表を務めるNPO法人両全トウネサーレ。2015年12月に開設し、今年5月末までに4人の女性が入居した。薬物依存症者専用ではなく、常勤職員は3人。両全会職員も定期的に訪れ入居者と面談する。

 

 両全会は渋谷区内で女性専門の更生保護施設(定員20人)を運営。刑務所を仮釈放となっても帰住先のない人などが平均で約4カ月入所する。その間に働いてお金をため、アパート暮らしを目指すのが基本だ。

 

■寄り添いが不可欠

 

 「更生保護施設にいられる期間は短い。社会で自立した生活を送るには、退所後もなじみの職員らの寄り添いが必要だ」。小畑理事長はGH開設の狙いをこう話す。

 

 両全会の更生保護施設は、入所者の8割が覚せい剤や窃盗の常習者。精神障害や発達障害の人も多い。

 

 12年度からは施設内で独自の薬物離脱プログラムを開始。退所後も任意で通うよう促し交通費も両全会が負担しているが、通うのは該当者の半数程度。13年度からは法務省の予算で薬物離脱専門員が配置された。

 

 

➡次ページ 保護観察増の見込み

 

 

 

 

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