熊本地震で温泉地に風評被害 障害者が働く旅館にも

2016年0721 福祉新聞編集部
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風呂掃除に励む利用者3人(6月30日午後4時、清流荘で)

 熊本県菊池市にあり、美肌の湯といわれる菊池温泉の宿・清流荘(社会福祉法人菊愛会)は、熊本地震の影響で8月のお盆までの予約がすべてキャンセルになった。若山裕明・就労支援事業部課長は「風評被害です」と声を落とす。

 

 清流荘は全国的にも珍しい社会福祉法人が運営する旅館(全9室)。2009年5月から障害者就労継続支援A型事業と短期入所事業を行っている。4月16日の本震後に館内を点検したがほぼ被害はなかった。同日から4日間、風呂を無料開放し、入浴に来た人で行列ができたという。

 

 現在20人の障害者が、午前9時から午後10時までの間でシフトを組んで働いている。料理を部屋に運んだり、洗い物をしたり、露天風呂や館内風呂、部屋などを掃除したり。また1790平方㍍の敷地にある桜、紅葉、ツバキなど約100種の草木の水やり、草取りのほか、駐車場の清掃などさまざまな仕事がある。本人の特性に合った持ち場でそれぞれ自発的に働いている。利用者の平均工賃は6万8000円だ。

 

 旅館の前事業者の時から働く藤井多津子さんと東多美子さんは勤務18年。藤井さんは「お客様にきちんとあいさつします。自分の健康管理に気を付けています」と話す。若山さんは運営開始当初の慣れない業務やクレーム対応などに苦労したことを振り返りつつ「ベテラン利用者に教えてもらったし、助けられた」と感謝している。

 

慣れた手つきで布団を敷く藤井さん(左)と東さん (6月30日午後4時半、清流荘で)

慣れた手つきで布団を敷く藤井さん(左)と東さん
(6月30日午後4時半、清流荘で)

 

 また旅館の隣では貸し切り家族風呂「湯の倉」も運営し、年2万組が訪れる。一番風呂に入ってほしいというこだわりから、毎回温泉の湯を入れ替える。客が風呂から出ると利用者が浴室、脱衣所を手際よく掃除する。全12室あるので混雑時の利用者は大忙しだ。

 

 旅館業は浮き沈みが激しく、15年度の全体売上は約8600万円。例年宿泊客でにぎわう夏休みを前に、若山さんは「木立の中の当宿を福祉施設の旅行などで利用してほしい」と呼び掛けている。

 

貸し切り家族風呂が12室並ぶ (7月1日午前8時半、湯の倉で)

貸し切り家族風呂が12室並ぶ
(7月1日午前8時半、湯の倉で)

 

 

 

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