措置入院見直し「自治体任せにするな」 相模原市などが厚労省に要望

2017年0124 福祉新聞編集部
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古屋副大臣に要望書を渡す加山市長(右)

 加山俊夫・相模原市長は11日、措置入院制度の見直しについて古屋範子・厚生労働副大臣と会談し、要望書を手渡した。措置入院から退院した人の支援を自治体任せにしないようクギを刺した。会談後、加山市長は記者団に「我々の要望をよく理解していただいた」と話した。厚労省は精神保健福祉法の改正に向け、3月までに詳細を詰める方針だが、厚労省の検討会では反発が広がっている。

 

 要望書は神奈川県、横浜市、川崎市の連名で提出した。加山市長は措置入院後のフォローについて、「(関係機関の間での)情報共有の在り方など、指導要領の中で具体的に明示してほしいと副大臣にお願いした。自治体の担当者の判断ではあいまいになってしまう」と語った。

 

 神奈川県立の障害者支援施設「津久井やまゆり園」(相模原市)で発生した殺傷事件を踏まえ、厚労省はすべての措置入院患者に対し、措置権者(都道府県知事・政令市長)が退院後の支援計画を作るよう義務付ける方針。事件前に措置入院していた植松聖容疑者に対する同市のフォローが不十分だったと判断したからだ。

 

同意なき支援なし

 

 要望書は、厚労省の方針に“待った”をかけた格好だ。

 

 措置入院の目的は医療と保護であり、犯罪防止ではないことを強調し、退院した患者の同意を前提として自治体が支援する仕組みにするよう求めた。本人が同意しない場合には支援計画を作らないことが妥当だとする含みを持たせた。

 

 また、措置入院患者をめぐり、大麻所持など犯罪が疑われる事実を病院や措置権者が把握した場合の対応について、国が明確化するよう求めた。

 

 津久井やまゆり園事件では、植松容疑者に大麻の陽性反応があったことを措置入院によって知った同市が、その事実を警察に伝えなかった。このことが事件を防げなかった要因だと批判された。

 

 措置入院によって知った患者の情報をみだりに外部に出せない措置権者としては、そうした情報を警察などと共有しようとしても、制度的な後ろ盾がないと実際には難しいという思いがある。

 

 厚労省は措置入院制度の見直しにあたり、警察につなげるべき事例を措置権者に例示する考えだが、措置権者側は「判断に迷うような漠然とした指針では困る」(同市精神保健福祉課)と懸念する。

 

検討会委員も反発

 

 事件の再発防止策をまとめた厚労省検討チームの最終報告(昨年12月8日公表)は、警察、病院などが措置入院制度の運用を協議する場を地域ごとに設けるよう提案。犯罪が疑われる情報の取り扱いも協議の場で決めるよう求めている。

 

 しかし、法改正に向けて詳細を詰める厚労省の「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」(座長=樋口輝彦・前国立精神・神経医療研究センター総長)の6日の会合では、委員から「犯罪の疑われる情報という記述は削除すべきだ」「措置入院患者に特化した対応で差別的だ」「こうした制度改正をすると後世の人が迷惑する」などと反発の声が上がった。

 

 

 

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