【相模原殺傷事件】「大規模施設に建て替えやめて」 神奈川県審議会で意見続出

2017年0213 福祉新聞編集部
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神奈川県本庁舎の大会議室で開かれた審議会

 神奈川県は3日、障害者施策審議会(座長=堀江まゆみ・白梅学園大教授)を県庁内で開き、県立の障害者支援施設「津久井やまゆり園」(相模原市)の再生基本構想を策定する部会の設置を決めた。部会は同園の入所者の意思確認の在り方、施設再建後の定員規模などを2月下旬から5月まで議論する。県が、今の入所者のためというよりも県の政策として議論するよう求めたところ、委員から「現在地に大規模施設を建てるのではなく、小さなものを分散整備してほしい」との意見が相次いだ。

 

 県は部会の結論を受けて基本構想の案を6月上旬に公表し、関係者に説明した上で夏に決定する。今年1月の公聴会で建て替え方針に異論が噴出したため、基本構想の策定時期を当初予定の3月から延期する。

 

 同日の審議会では、津久井やまゆり園の入所者がどこに住みたいのか時間をかけて聞くべきだとする意見が上がった。これに対し、県は「現在の入所者の住まいをどうするかという問題と建て替えの問題は別だ」(小島誉寿・福祉部長)と答えた。

 

 入所者の意思確認には時間がかかるため、それを待たずに建て替えの必要性を導き出したい――。そう考えた県は「今の入所者のため」という視点よりも、県の政策としての入所施設の必要性を前面に打ち出した。

 

 県は人口10万人当たりの入所施設(成人の障害者)の入所者数を持ち出し、神奈川県は全国で最小だと強調。もともと地域生活支援を進めていて、入所施設は足りないと説明した。「(障害者の)家族の負担を減らし、共倒れを防がなくてはならない」(小島部長)とも語った。

 

 一方、「今の入所者のため」という視点から距離を置けば、「60億~80億円かけて、定員130人規模の施設を現在地で2020年度までに建て替える」とするこれまでの県の方針に固執する根拠は弱まる。特に、大規模施設を整備することは、今の政策の流れとして掲げにくくなる。

 

 それを意識するかのように、同日の審議会では「津久井やまゆり園の建て替え費用を減少し、他の地域に回してほしい」(鈴木孝幸・県視覚障害者福祉協会理事長)など、小規模施設を現在地を含む幾つかの地域に分散整備すべきだとする意見が複数の委員から上がった。

 

 昨年7月26日の事件当時、短期入所を含めた同園の定員は160人で、157人が入所。現在は厚木市内の施設(分園)で暮らす40人を含む99人が在籍する。在籍者は4月から約4年間、横浜市内の施設(3月までに約1億円かけて改修)に仮入所する。

 

 県は昨年9月、在籍する99人と県立の他施設に移った32人の計131人が再建後の同園に戻る前提で建て替える方針を決定。建て替えの理由は「改修では凄惨せいさんな事件を思い出してしまう」など、入所者や職員の心情を重視していた。

 

 審議会の委員は20人で障害者団体、福祉事業経営者、学識者、首長で構成。基本構想を議論する部会の委員は8人で次の通り。

 

 ▽堀江まゆみ・白梅学園大教授▽堀越由紀子・東海大教授▽冨田祐(県本人の会「希望」副会長、知的障害者)▽野口富美子・県心身障害児者父母の会連盟幹事▽安藤浩己・県知的障害福祉協会顧問▽伊部智隆・県社会福祉協議会福祉サービス推進部長▽小川喜道・神奈川工科大教授▽在原理恵・県立保健福祉大准教授

 

 

 

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