地域共生社会へ向け工程表を発表 公的サービスに依存しない社会めざす

2017年0220 福祉新聞編集部
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 厚生労働省は7日、地域住民と社会資源がつながりを持つ「地域共生社会」の実現に向けた5年間の工程表を発表した。介護保険など公的サービスの担い手不足を背景に、住民や専門職を有効活用することが狙い。小さな圏域ごとに生活課題を発見し、解決する体制づくりを市町村に求める。その体制づくりを促すため、社会福祉法、生活困窮者自立支援法などを順次改正する。公的な福祉サービスだけに依存しない社会を2020年代初頭には実現したい考えだ。

 

 工程表は省内幹部で構成する「我が事・丸ごと地域共生社会実現本部」(本部長=塩崎恭久・厚労大臣)が同日決めた。塩崎大臣は昨年7月の同本部発足時から、「地域共生社会は今後のさまざまな福祉改革のコンセプトだ」と強調している。

 

 同日、国会に提出した介護保険法等改正法案には、地域共生社会関連として社会福祉法、障害者総合支援法、児童福祉法の改正事項を盛り込んだ。17年度から21年度までの5カ年に及ぶ改革の第一歩を踏み出した。

 

共生社会への工程表

共生社会への工程表

 

 社会福祉法には、地域福祉の理念に「地域住民による生活課題の把握、専門機関との連携」を追加した。また、市町村の努力義務として「生活課題の解決に向けた体制整備」を規定した。

 

 市町村が同法に基づいて作る地域福祉計画は策定を努力義務にする。現在、市町村の約7割が策定済みだが、福祉の各分野に共通の事項を追加することで他の福祉計画の上位に位置付ける。

 

 訪問や通所の福祉サービスは、縦割りの規制を緩和する。例えば、障害者総合支援法の事業として指定された事業所が、介護保険法でも指定を受けやすくなるよう特例を設ける。児童福祉法も同様だ。特例に基づく事業所を「共生型サービス事業所」と呼ぶ。

 

 現在、事業を始めるには各法の人員配置や利用者数などの基準を満たし、自治体から指定を受けることが必要だ。しかし、人口減により職員や利用者を基準通り確保できない地域もあり、柔軟な扱いが求められていた。

 

 これらは6月18日までの今国会で成立を目指す。施行は18年4月1日。社会福祉法に追加した「市町村による体制整備」については、全国的に整備する方策を施行3年後に見直す規定を盛り込んだ。

 

 厚労省が唱える「我が事」は「他人事」の反対語で、住民同士のつながりを重視する。日常の困りごとに気付き、解決につなげようというものだ。

 

 「丸ごと」はその気付きを受け止める側の体制を指す。年齢や障害の有無で縦割りになった制度の狭間に、困りごとが放置されないよう相談機関同士の連携を強化する。

 

 社会福祉法改正で促す「市町村による体制整備」は、住民同士が交流するための拠点を設けること、住民自らが相談に応じることなどを想定する。

 

 「我が事」の意識づくりや、「丸ごと」に関係するのは地域包括支援センター、社会福祉協議会、民生・児童委員など。新たな相談機関は設けない。

 

 16年度からのモデル事業や、生活困窮者自立支援法の見直し(18年)を経て既存の相談窓口を機能強化する。

 

 また、専門職不足も深刻なことから、保健医療福祉の国家資格は、17年度から共通基礎課程の創設を検討し、21年度をめどに導入する。複数の国家資格を取得する際に、類似した課程を重複して学ばずに済むよう合理化し、人材を有効活用する考えだ。

 

 

 

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