重症児施設のこれから 旭川荘の末光理事長による連載(上)

2017年0308 福祉新聞編集部
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旭川児童院の開院当初の行事

 「重症心身障害児」とは、重度の知的障害と肢体不自由を併せ持ち、常時医療が必要な児童を指します。ほとんど寝たままで、自力では起きられない状態の人が多く、寝がえりも困難です。食事や排泄はいせつなど日常生活のほとんどが全介助であるため、医療、リハビリテーション、介護が欠かせません。

 

 そうした児童を受け入れる重症心身障害児施設(重症児施設)が、児童福祉法改正により世界で初めて法に認められる専門の医療・福祉施設としてスタートしたのは1967年。今年は誕生から50年になります。

 

 その頃は重症児者の命と家族の暮らしを守るため、全員を重症児施設で受け入れることが国の政策目標で、専門家や家族の願いでもありました。受け皿目標は1万7000床。社会福祉法人と公立の重症児施設が新設され、その後、国立療養所の転換などで年々整備が進められました。

 

 その一方で、1983年からの「国連・障害者の10年」を契機に、長期入所施設への風向きは大きく変わりました。国の施策も「脱施設化・地域移行」へとかじが切られ、重症児施設の存在そのものが問い直されたことで、関係者も大きな混乱にさらされた時期があります。

 

 しかし現在、全国に公立と法人立の重症児施設は128カ所、1万2780床で、ほぼ満床状態にあります。この10年間でも1649床増床しており、大都市圏では多くの人が入所待機中です。

 

 いわゆる民間の重症児施設は、新規施設の建設が16カ所(988床)あり、既存施設でも34カ所(687床)増床しています。一方、減床しているのは5カ所(26床)です。

 

 国立病院機構の重症児者病棟については、一時期は80カ所(8080床)ありましたが、74カ所(7488床)にまで縮小したこともあります。その後、再び増床に転じ、現在8157床に上ります。

 

 増床に転じた理由は、寿命の延長に伴い成人に達した重症心身障害者が急増したことと、人工呼吸器や経管栄養などが常に必要な「医療的ケア児」の受け入れなど、新たなニードへの対応が求められたためです。そのため、入所ベッドの縮小は、知的障害や肢体・身体障害の施設と同じようには進みませんでした。

 

 一方、年少児を中心に在宅生活を望む声も高まり、地域包括ケアの方向の中で、重症児者に対する支援の在り方も再構築されようとしています。

 

4面末光

末光茂・社会福祉法人旭川荘理事長

 

【略歴】1942年生まれ。岡山大学医学部卒業。土佐希望の家園長、旭川児童院院長、川崎医療福祉大学教授などを経て、2007年から現職。

 

 

 

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