赤ちゃんが泣く意味 受け止めて 寺田清美教授から報告

2017年0329 福祉新聞編集部
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 「赤ちゃんは『泣く』のが仕事よ」と、かつては言われたものです。
 

 

 しかし2004年の子ども未来財団調査によると、赤ちゃん連れでバスや電車に乗っている際に、赤ちゃんの泣き声がうるさいと注意されて嫌な思いをしたことのある母親は8割に上るそうです。
 

 

 また、06年の厚生労働省調査では、虐待死した子どもの4割が0歳児であり、そのうち7割は6カ月未満児です。その理由は、子どもが泣く意味や接し方が分からないからというものが少なくありません。
 

 

 つまり、「お腹が空いた」「オムツが濡れた」「抱っこしてほしい」など、赤ちゃん自身が思いを伝達できる唯一の表現である泣く行為を否定的に捉えている現状があります。
 

 

 保育者を含む大人が子どもの育ちを考える時、この「泣き」の行為を肯定的に受け止め、伸びやかに表現できる環境を整えることこそ求められているのです。
 

 

 子どもが、主体的に環境(人、事物、出来事など)に関わるためには、この泣いた時に十分受け止められて、甘えられるなど肯定的に受容されることが基礎となります。安心して受け止められなければ、赤ちゃんはやがて、泣きも笑いもしない反応の乏しい子へと成長していくのです。
 

 

 つまり、人生の最初のスタート期であるこの泣くという行為を私たち大人が無償の愛で包みこみ受容することで、やがて主体的に遊びに関われる子につながるわけです。
 

 

 そのため、この時期の乳児の反応を丁寧に観察し受け止めることが大切です。
 

 

 4月の進入園児が入る時期、園からは泣き声が聞こえるでしょう。新しい環境に身を置けば、赤ちゃんでなくても誰もが泣きたくなるのは、ごく自然の事柄です。新入園の時期は親子ともに不安なものです。
 

 

 ここで主任保育士の出番になります。赤ちゃんの泣く行為を肯定的に受け止めて、「今日も元気な声が聞こえるわね」と、やさしく新米のママ・パパに声を掛けて頂きたいのです。
 

 

 さらに個人差はありますが、生後7カ月頃から始まる人見知り期の乳児も同様に泣く行為が見られます。一過性のものであることに対する理解度も高めたいものです。
 

 

 主任保育士のその背中を周囲の保育士たちは、観察しながら保護者対応の仕方を学んでいきます。主任保育士の笑顔と優しい一声が保護者や職員の心の栄養になることでしょう。

 

寺田清美・東京成徳短期大学教授

 

 

【略歴】東京成徳短期大学教授。保育歴26年(係長副園長)の経験もあり、社会福祉士の資格も持つ。厚生労働省の社会保障審議会保育専門委員会の委員なども務めている。

 

 

 

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