全国初、公園内の保育所 特区を活用し東京・世田谷に

2017年0425 福祉新聞編集部
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子どもたちが遊ぶすぐ向こうが保育園。白い壁が特徴

 社会福祉法人「あすみ福祉会」(迫田健太郎理事長)は1日、東京都世田谷区にある祖師谷公園内に「茶々そしがやこうえん保育園」を開設した。都市公園内に保育所が設置されたのは全国初。迫田理事長は「自然を生かしながら、地域に開かれた施設にできれば」と話す。

 

 

 小田急線成城学園前駅から徒歩20分。広大な祖師谷公園の中に、全面真っ白の建物が現れる。敷地面積950平方メートル、鉄骨2階建て。土地は都から有償貸与で、総工費は約4億円に上る。

 

 施設の面積基準などはほかの認可保育所と同じ。運動場はなく、外遊びは隣接の公園を使うという。

 

 定員は0~5歳の80人で、今春は52人が入園。3年かけて定員いっぱいになる見通しだ。現在25人の職員が働いている。

 

 祖師谷公園の中といっても同園が占める割合は100分の1のためか、建設時に反対運動はなかった。ただ、近隣の住宅からは不安の声もあったという。

 

 「住民説明会や個別訪問を重ね、丁寧に園の理念などを説明しました。その結果、今では園のよき理解者になってくれています」と迫田理事長は振り返る。

 

 とはいえ、騒音対策には力を入れた。住宅が並ぶ東側は壁にし、窓を作らなかった。建物内に天窓を設置することで、十分に光が入る設計にしたという。

 

 公園内に保育所ができた背景には、待機児童の問題がある。

 

 全国で保育所に入れない待機児童は、2016年10月時点で4万7738人。年度途中は増加傾向にあるが、前年同月比でも過去最多の2423人に上った。

 

 都道府県別では、東京が1万1975人とダントツに多い。中でも世田谷区は1137人と市区町村別で最多となっている。

 

 東京都は19年度までに保育定員を7万人増やし、待機児童をゼロにする方針だ。しかし、保育所の建設で大きな壁となるのが、土地の確保だった。

 

 そこで政府は、公園内には売店などしか建設できない都市公園法の規制を緩和。国家戦略特区の枠組みを活用し、4月から汐入公園(荒川区)、西大井広場公園(品川区)にも公園内保育所が誕生した。

 

 同時期に設置が承認されていた蘆花恒春園(世田谷区)での公園内保育所は、建設予定地で基準値を超える鉛などが見つかったことから、工事を中断。開設時期は未定だ。

 

 1都4県で14園を運営するあすみ福祉会は、同園のコンセプトとして「自然公園×クリエイティブ教育」を掲げる。

 

 隣接の公園は緑豊かで川も流れ、多くの生き物と触れ合える。真っ白な園舎は美術館のような雰囲気。園内には真っ白な壁に覆われた部屋もあり、最新のデジタル製品もそろっている。

 

   真っ白なクリエイティブルーム

 

 主任保育士の最上秀樹さん(30)は「自然やテクノロジーを通じ、知性と感性を刺激する体験を重ねてもらいたい」と話す。今後は公園で見つけた生き物をネットで調べたり、ビデオ通話で他国の子どもと話したりすることも考えている。

 

 また園内には、園児が通る入口とは別だが、住民がコーヒーなどを飲みに訪れるカフェを併設。地域と保育所のつながりを生むきっかけを目指している。

 

 迫田理事長は「子どもへの安心で安全な環境づくりは当然ですが、基本的にはオープンな施設でありたい。待機児童の解消だけを目指すのではなく、地域と価値観を共有できる施設になれば」と話している。

 

 

 

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