5パターンから入浴方法を選べる特養 ミスト浴で思わぬ副産物

2017年0426 福祉新聞編集部
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座位保持が困難な人が使う臥位式ミスト浴

 利用者の身体状況や希望に合わせ、5パターンの入浴方法を選べる特別養護老人ホームがある。福島県郡山市の「おおつき」(森田たき子施設長)だ。なかでもコラーゲン入りの超微粒子でスキンケアもできるミスト浴は、褥瘡予防や看取ケアに大きな効果を発揮。介護職員の負担軽減にも役立っている。

 

 1999年10月に開所したおおつきは、郡山医療生協を母体に設立された社会福祉法人くわの福祉会(先﨑伍郎理事長)が運営する入所定員80人(平均要介護度4・0)の従来型特養ホーム。開所当初から一般浴用の大型浴槽、リフト付き個浴4台、臥位式機械浴槽1台を導入し、安全で負担の少ない入浴ケアを提供してきた。

 

 現在は、大型浴槽のほか、リフト付き個浴3台、座位式ミスト入浴装置1台、臥位式ミスト入浴装置1台を導入。浴槽をまたげる8人が大型浴槽または個浴での一般浴、浴槽をまたげないが座位保持できる33人がリフト付き個浴で入浴。また、座位保持できるが感染症があったり入浴中に失禁したりしやすい20人が座位式ミスト浴、座位保持が困難な12人が臥位式ミスト浴といった、5パターンいずれかの方法で入浴している。

 

浴槽をまたげない人が使うリフト付き個浴

 

感染症の人や失禁しやすい人が使う座位式ミスト浴

 

 入浴方法は、入所時の聞き取りの際に身体状況などを把握して決定。看護師と介護職員、入浴担当職員3人が入浴ケアする中で、利用者の希望を聞いたり、身体状況の変化などを判断したりして、個々の残存能力と安全性を損なわない最も良い方法を採用している。

 

 リフト付き個浴で入浴していた人の「こっちの方が楽だ」という声に応えて座位式ミスト浴にするなど、個々の希望に沿った入浴方法を採用するのは当たり前。「介護者中心でなく、利用者中心の入浴ケアを心がけている」と森田施設長は話す。

 

 それができるのも、臥位式機械浴槽が壊れた2008年に臥位式ミスト入浴装置を、リフト付き個浴が壊れた12年に座位式ミスト入浴装置をそれぞれ導入したからだという。

 

 08年以前は、臥位式機械浴槽で入浴させられるのは午前・午後各7~8人が精いっぱい。お湯の入れ替えや浴槽の掃除も必要で時間的ゆとりがなかった。感染症のある人や入浴中に失禁する人は一番後か、シャワーで済ませるかになっていたという。「ミスト入浴装置の導入により掃除などの手間が減った。湯船に入るより短時間で体が温まるので、時間や順番を気にせずに入浴できるようになった」と、看護主任の吉川多喜さんは話す。

 

 

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