「特養は要介護3以上」介護保険法改正で厚労省案

2013年0930 福祉新聞編集部
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 厚生労働省は18日、特別養護老人ホームの入所条件を要介護3以上に限定する考えを同日の社会保障審議会介護保険部会に示した。委員の意見は賛否が分かれ、地方3団体も意見が微妙に異なった。厚労省は在宅サービスの見直し案も示し、通所介護は小規模事業所の指定権限を都道府県から市町村に移す方針。いわゆるお泊りデイサービスには届け出制を導入する考えだ。

 

 

 来年の通常国会に提出する改正介護保険法案に反映し、2015年度からの施行を目指す。

 

 現在、特養ホーム入所者の88%は要介護3以上の人だ。残り12%の要介護1、2の入所者には経過措置を設けるが、法改正されれば新規入所は要介護3以上に限定される。

 

 特養ホームの入所待機者は09年12月の集計で42万人。都市部を中心に受け皿が不足していること、給付費の増大を抑えたいことなどから、要介護3以上で在宅の人(約12万人)を優先すべきとの声もある。

 

 しかし、これまでも中重度者の入所が政策的に誘導されてきたことから、あえて法改正する必要はないとする見方も根強い。

 

 桝田和平・全国老人福祉施設協議会介護保険事業等経営委員長は「特養ホームの福祉機能を確保するため、入所判定は事業者の主体性に任せるべき」と主張。軽度者には常時見守りの必要な認知症の人が含まれ、その人たちが不利益を被ることも反対理由とした。

 

軽度者入所に地域差

 

 入所者に占める要介護1、2の割合には地域差がある。割合が高いのは奈良、静岡、香川、低いのは沖縄、愛媛、鳥取の各県だ。その開きは最大で3倍。要介護認定のバラツキや施設整備の差がその原因と見られる。

 

 奈良県は本紙の取材に対し、「県内には過疎化・高齢化が進み、介護サービス提供基盤が脆弱な地域もあるので、きめ細やかな制度設計となるよう検討してほしい」(長寿社会課)と困惑気味だ。

 

 同日の部会で全国市長会は「市町村のサービスの整備状況がさまざまであり、全国一律の実施は困難」とし、全国町村会は「限定はやむを得ないが、要介護2までの人の受け皿づくりをセットで行うべき」と主張した。

 

 一方、全国知事会の委員の代理で出席した神奈川県の幹部は「法律による厳格化をお願いしたい」と賛成したほか、「定員29人以下の地域密着型特養ホームの設置主体は株式会社など営利企業も認めるべき」とした。

 

お泊りデイ届け出制

 

 在宅サービスでは通所介護の見直しが目玉だが、詳細は介護報酬や人員配置基準などに委ねられるため、現時点では不明だ。

 

 ただし、はっきりしているのは、事業内容に応じて類型化して介護報酬にメリハリを付けることだ。機能訓練などにより重度化を防ぐことをこれまで以上に重視する。

 

 もう一つ明確なのは、定員10人以下の小規模な通所介護事業所への監視強化だ。市町村が指定・監督権限を持つ地域密着型サービスに移行させる案や、小規模多機能型居宅介護のサテライトにする案が論点となった。

 

 現在、小規模事業所は比較的介護報酬が高い半面、設備基準のハードルは高くないため急増。日中の介護に加え、保険外で宿泊サービスも提供する「お泊りデイサービス」(推計で全国2000~3000カ所)も小規模が主流だ。

 

 宿泊は保険外なので外部の目が届きにくく、環境の劣悪な事業所も散見されるとしてかねて問題視されていた。それを踏まえて届け出制を導入することも論点となり、複数の委員が賛成した。

 

 東京都など一部の自治体は独自の人員配置基準などを設けた上で届け出制を導入済み。現在、都は300超の事業所が届け出た居室面積や防火体制などの現況を公開している。

 

 全国共通の運営基準を望む意見もあるが、厚労省案は新たに基準を設けるのではなく、地域密着型サービスへの移行などにより運営の透明化・適正化を図る発想だ。

 

 宿泊付きの「茶話本舗デイサービス」を全国展開する㈱日本介護福祉グループは19日、厚労省案に大枠で賛成する見解を発表。茶話本舗の新規開設は14年度末までとし、15年度からは小規模多機能型居宅介護などの展開に転じるという。

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