誤嚥性肺炎を防ごう 歯科医に学ぶ口腔ケアセミナー

2017年0822 福祉新聞編集部
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正しい歯の磨き方を実践で学んだ

 誤嚥性肺炎を防ぐための介護職員向け口腔ケアセミナーが7月26日、広島県東広島市のグループホームで行われた。特別養護老人ホームなど高齢者施設での「誤嚥性肺炎ゼロ達成」を目指し、さまざまな活動を行っている瀧内博也・福岡歯科大助教が講師を務め、集まった約50人の介護職員に誤嚥性肺炎の危険性を講義したほか、それを防ぐための口腔ケアを実践で教えた。

 

 誤嚥性肺炎とは、口から食べ物を飲み込んだ際に誤って気管から肺に入ってしまい、炎症を起こしてさまざまな健康被害を引き起こすことを指す。

 

 健康であれば、むせるといった防御反応が働いて気管に入らないようになるのが自然。しかし高齢や病気の場合、防御反応が働かず、誤嚥性肺炎のきっかけになる。

 

 また施設入所者の場合、ブラッシングなどの口腔ケアが必ずしも十分に行えていないケースが多く、口の中に残った食べかすや歯垢といった汚れが誤って肺に入り込んだ結果、誤嚥性肺炎を引き起こすこともある。

 

 セミナーでは、高齢者の死因の多くは肺炎にあること、肺炎の中でも誤嚥性肺炎は高齢になればなるほど発症確率が高くなることを説明。専門的な知識を持たない介護職員でも、簡単な口腔ケアを定期的に行うことで誤嚥性肺炎を防げることを強調した。

 

 その後の実践では、介護職員同士がペアとなり、歯ブラシの持ち方や力の入れ方、重点的に磨く部分など細かい指導を行った。また、歯茎や表情筋をマッサージすることで、唾液を多く出させて飲み込みやすくなることや、口の中に食べかすが溜まりにくくなることも教えた。

 

 介護職員の中には、他人の歯を磨くことや口に手を入れてマッサージすることに抵抗感がある人もいたが、次第に慣れて「やってもらうと思っていたより気持ちいい」「確かにきれいになる」など、効果を実感していたようだった。

 

 セミナーは、開催元のグループホームの入所者が、ここ1年で4人も誤嚥性肺炎を発症したことを、訪問歯科医である地元の坂本智則・坂本歯科理事長に相談したことがきっかけで企画された。

 

 当初は坂本理事長が講師を務める予定だったが、同氏が瀧内助教にグループホームでの現状を話したところ、積極的に講師役を買って出たことで、今回のセミナーが実現した。

 

 瀧内助教は「誤嚥性肺炎は、利用者やその家族を不幸にするだけでなく、医療費の増大など悪影響は多岐にわたる。施設側も、誤嚥性肺炎の危険性を正しく理解しきれていないのが現状だ。今後、こうしたセミナーを全国規模で行っていきたい」と訴えた。

 

 

 

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