福祉の利用で再犯防止 支援拠点の整備へ

2017年1016 福祉新聞編集部
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日本社会福祉士会が9月30日に開いた再犯防止の研究集会は関心が高く、法務省の職員ら24人も聴講した

 法務省は9月26日、再犯防止推進法に基づく政府計画の案を明らかにした。全115施策のうち、刑務所を出所した高齢・障害者への支援など「保健医療・福祉サービス利用の促進」の関連が24施策を占める。必要なサービスの利用につなげるための拠点整備が柱だ。政府計画は今後、意見募集を経て12月に閣議決定される見込み。都道府県・市町村は政府計画を踏まえて地方計画を作る努力義務があるが、法務省によると計画策定の窓口を保健・福祉部局とする自治体が半数超という。

 

 政府計画案は同日、厚生労働省を含む関係省庁と有識者で構成する「再犯防止推進計画等検討会」(法務副大臣が議長)に示した。対象期間は2018年度からの5年間で、重点課題を七つに分けている。その一つが「保健医療・福祉サービスの利用促進」だ。

 

 65歳以上の高齢者は出所後2年以内に再び刑務所に入る割合が全世代で最も高く、知的障害者も再犯に至るまでの期間が短いことが統計的に明らかだとし、福祉サービスの利用につなげることで再犯を防ぎたい考えだ。

 

出所後2年以内再入率の年齢層別推移(平成28年度犯罪白書)

 

 そのため、地域ごとに司法機関や医療・福祉機関などがネットワークをつくることを促す方針。連携の在り方は法務省、厚労省が2年以内に結論を出して施策化する。

 

 法務省は試行的に一部の都道府県で支援拠点を設ける。出所者に福祉サービスを紹介したり、就職や住居をあっせんしたりする。18年度予算の要求に関連経費を盛り込んだ。

 

 厚労省に対しては、出所者に福祉サービスを提供する社会福祉施設への委託費などについて加算措置を充実するよう求めた。市町村が策定する地域福祉計画についても厚労省が再犯防止の観点から助言する。

 

 覚せい剤などの薬物犯罪者に対しては、刑務所への入所に代えて医療機関での治療や薬物離脱を支援する民間組織によるプログラムを受けさせることを検討する。

 

 このほかの重点課題においても、福祉の出番は少なくない。

 

 例えば、「就労・住居の確保」では、生活困窮者自立支援法の就労準備支援事業の積極活用を明記。「学校と連携した修学支援」では、非行による修学中断を防ぐため、子どもの居場所づくりや子ども・保護者・学校関係者に対する相談支援の充実を掲げた。

 

 今後は地方自治体による計画策定も進むことになるが、法務省によると、今年7月時点でその窓口を明確にした都道府県は32、政令市は8。そのうち24自治体は保健・福祉部局に設けている。

 

 その一つ、鳥取県は福祉保健課が窓口となり、計画策定のための検討会を8月に設置。18年3月までに作り終えることを目指しているという。

 

 法務省は「再犯防止における福祉関係者の役割は極めて重要だ」(大臣官房秘書課再犯防止推進室)と呼び掛けている。

 

ことば

再犯防止推進法=刑務所や少年院出所者の社会復帰を進め再犯を防ぐため、2016年12月、議員立法により成立した。地方自治体にも取り組みを求めた点が特徴。刑務所出所後2年以内に再び刑務所に入る人の割合(2年以内再入率)は現在18%弱だが、政府は2021年までに16%以下にする目標を掲げる。65歳以上の2年以内再入率は現在20・4%と高い。

 

 

 

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