里親委託率、数値目標入れるか意見対立 都道府県推進計画の見直しで

2017年1206 福祉新聞編集部
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 厚生労働省は11月22日に社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会(委員長=柏女霊峰・淑徳大教授)を開いた。「新しい社会的養育ビジョン」を踏まえた都道府県推進計画の見直し要領の策定に向け議論。新ビジョン策定に関わった委員からは里親委託率を盛り込むべきとする意見が出たが、児童養護施設や自治体は反発するなど、意見は対立した。

 

  新ビジョンは、2016年の改正児童福祉法を具体化するもの。原則、就学前の施設入所を停止することや、7年以内に里親委託率を75%以上に上げることなどが盛り込まれており、全国児童養護施設協議会(全養協)は「驚きと衝撃」と反発していた。12月に厚労省がまとめる推進計画の見直し要領に数値目標を入れるのかどうかが焦点となっている。

 

 会合で、新ビジョンをまとめた検討会の座長だった奥山眞紀子・国立成育医療研究センター部長は、法改正時点で原則里親委託が示されているのに、なぜいまさら全養協は衝撃を受けているのかと批判。「目標がないとスルーするのが人間だ」と述べ、推進計画に数値目標を盛り込むべきと主張した。

 

 同様に、吉田菜穂子・全国里親会評議員も「新ビジョンの通り、推進計画に里親委託率の目標値を盛り込んでほしい」と要望。同時に都道府県への人材配置やレスパイト支援などを求めた。

 

 これに対し、桑原教修・全養協会長は「里親委託へのシフトを衝撃としているわけではない」と反論。「我々は戦後70年にわたり子どもを育ててきた自負がある。新ビジョンにはそうしたベースがないのが衝撃だ」との認識を示した。

 

自治体も慎重

 

 自治体からも慎重な声が相次いだ。

 

 全国知事会の立場で、山本倫嗣・高知県児童家庭課長は、里親委託率や原則新規措置入所停止などを推進計画に入れることに反対の立場を表明。「地域の実情を反映してほしい」と述べた。

 

 また、江口晋・大阪府岸和田子ども家庭センター所長は、被虐待児が多いため里親の質的向上が不可欠と指摘。「高い目標なら現場のモチベーションが上がるわけではない」と数値目標を盛り込むことに反対した。

 

 竹中雪与・東京都育成支援課長はたった3回の議論で見直し要領を作ることに疑問を呈し、「区市町村の体制整備をし、都道府県が一体的に支援するのが大事だ」と語った。

 

 学識者の立場からも、宮島清・日本社会事業大大学院准教授が「まずは里親の支援体制の目標を作るべき。高い目標を掲げれば、家庭養護の質が下がり危険」と警鐘を鳴らした。

 

 こうした意見に対し、奥山委員は「数値目標には全部反対だという人もいるが、数値を入れずして、子どもが22歳までずっと施設にいることをどう防ぐのか。アイデアを出すべき」と発言。すぐに桑原委員が「子どもの育ちを数字で分断してはいけない。柔軟に選択肢を持ちながら、関係性の中で自立支援すべき」とけん制するなど、議論は平行線をたどった。

 

 

 

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