ソーシャルアクション学ぶ1年のプログラム終了 Social Change Agencyが主催
2018年03月29日 福祉新聞編集部
当事者や支援者の協働プラットフォームを目指すNPO法人「Social Change Agency」(横山北斗代表理事)は11日、都内で若手を対象に1年間ソーシャルアクションを学ぶプログラムの最終回を開いた。今回は、実践者や研究者によるシンポジウムを開催。登壇者らは受講生に「組織の中からでも社会変革を」と訴えた。
「現場にいると社会構造上、困っている人が生み出されていることが分かる。その穴のふさぎ方を養成課程で教えられていない」。シンポで藤田孝典・ほっとプラス代表理事はこう強調した。困窮者支援団体を運営する藤田代表は、生活保護基準相当で暮らす高齢者を「下流老人」と名付け本を書いたり、生活困窮者自立支援法の策定にも関わったりした。
藤田氏は、養成課程でソーシャルアクションを実践しながら教えられる教員はなかなかいないと指摘。「ほかの専門職団体と連携したり、ネットを活用したりして、行動してほしい」と語った。
国内の実践モデルを研究する髙良麻子・東京学芸大教授は、デモや訴訟で要求していく闘争モデルではなく、実績を基に行政と一緒に政策をつくる協働モデルの方が現代的だと強調。「ソーシャルアクションは組織にいるからできないわけではない」などと語った。
また、マクロソーシャルワーク研究会を立ち上げた石川久展・関西学院大教授は日本独自で実践の枠組みを確立する必要性を指摘。その上で「名を上げることや商売のためのソーシャルアクションであってほしくない。原点はクライアントの人権や社会正義のためだ」と呼び掛けた。
プログラムは横山代表理事が、ソーシャルアクションを生む土壌づくりをしようと今年度から企画。実践者を招いた講義や、スタディーツアーなど行い、30人が受講してきた。
認定NPO法人フローレンスで、子どものいる低所得世帯に無料で食品を届ける「こども宅食」の事業を担当する菊川恵さんは、現場からボトムアップでどう社会に働きかけるべきか、手法を学ぼうと参加した。「まずはクライアントに提供できる選択肢を広げられるよう知識を増やすことが大事だと思った。今後、今の立場でも実践できるアクションを小さいことからでも取り組みたい」と感想を述べた。今後はネットで実名発信することも決めたという。
プログラムは来年度も実施する予定。横山代表理事は「1年を通して、受講者からはミクロな実践にとどまることへの危機感を感じた。社会の変革に向けた多様な選択肢を持てるよう、今後も支援し続けたい」と語った。
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