<保育新時代> 福祉の社会化へ

2018年0411 福祉新聞編集部
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 社会福祉法人湘南学園が運営する「保育の家しょうなん」(滋賀県大津市)では、1989年の開園当初より、保育環境に可能な限り「家庭」の機能を取り入れています。

 

 ハード面では、保育室を年齢別ではなく、「食・寝・遊」の場に分けています。遊びが一段落した子から食堂に移動し昼食を取り、食べ終えた子から寝室に移動。その後、目が覚めた子から保育室に移動していきます。

 

 子どもの主体性を重視した保育方法や保育環境の中では、大人の都合でせかすことはありません。いきいきと遊ぶ子どもたちの姿があるだけです。

 

 ソフト面では、老若男女さまざまな職員構成をとることで、園全体で大きな「家族」をつくっています。

 

 塚本秀一園長は「子どもや親と同様に、保育者も十人十色の方が人間関係づくりに無理がない。活発な子どもは元気な男性保育者と園庭を走り回り、おっとりとした子どもはのんびり屋の保育者の膝の上が大好き」と話します。

 

 子ども・子育て支援新制度の施行に伴い、2015年度から幼保連携型認定こども園に移行し、法的には学校と児童福祉施設の両方の位置付けがされたことも大きいという。「子どもたちにとっては、お父さんやお母さんと一緒にいられない時間を安心して過ごす『もう一つのおうち』でありたいと思っています」と語ります。

 

 「保育の家しょうなん」の隣には、児童養護施設と障害者の就労継続支援B型事業所があります。訪問直後に大きな声のあいさつで迎えてくれたのが印象的でした。後から聞くと、その方はB型事業所の利用者でした。

 

 障害のある人が地域で働き、自立して暮らすことができる場がそこにあったのです。湘南学園は、子ども・お年寄り・ハンディキャップのある人たちが、共に助け合って生活しています。社会に近い環境を整えることにより「福祉の社会化」を目指しているのです。

 

 福祉サービスを地域社会に提供することによって、社会の福祉化を実現する「地域環境福祉」を感じました。

 

【寺田清美教授略歴】東京成徳短期大学教授。保育歴26年(係長副園長)の経験もあり、社会福祉士の資格も持つ。厚生労働省の社会保障審議会保育専門委員会委員も務めている。

 

 

 

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