彫刻の伝統工芸継ぐ プロ並み技術で収入増

2018年0420 福祉新聞編集部
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線彫りのお盆を作る利用者

 富山県南砺市の社会福祉法人マーシ園(島田勝由理事長)の障害者施設「マーシ園すてっぷ」は、国の伝統的工芸品に指定されている井波彫刻の技術を駆使した、木彫製品を製造・販売している。

 

 井波彫刻は、1390年に同市井波地区に瑞泉寺を建立した際、京都から来た御用彫刻師に教えを受けた地元大工により根付いたという。荒彫りから仕上げ彫りまで200本以上ものノミ・彫刻刀を使うのが特徴だ。

 

大きな糸のこで穴をあける利用者

 

 マーシ園は1959年の身体障害者授産施設開所時から、この木彫に挑戦。「下肢障害があっても上半身が動けばできる。技術を覚えれば、プロと同等の収入を得られると考えた」と豊川覚・本部事務局次長は話す。

 

 「一人前になるには10年かかる」と言われる技術習得は大変だったが、プロの彫刻師を職員として雇い、経験を積み重ねることで利用者の腕も上がった。

 

 製作しているのは、同県で男児が生まれたときに母親の実家から贈る「天神様」や、祭礼用の「獅子頭」、縁起物の「達磨」「七福神」など。オリジナルの線彫り盆なども作っている。価格は市価より1~2割安め。約40センチの天神様が30万円から、お盆は2500円から販売している。

 

左から獅子頭、臼、天神様

 

 木彫に携わる利用者は21人。障害種別や経験年数はさまざまだが、プロ同等の職人も多い。特に欄間などの飾り彫りに欠かせないすき間を作る穴開けは、職人の高齢化により、できるのはマーシ園だけになった。同地区の職人300人からの依頼を一手に引き受けており、伝統的工芸を下支えする。

 

 「少子化や、洋間のみの家が増え、天神様を飾る床の間や欄間が少なくなった。最盛期は1800万円あった収入も最近は720万円まで減った」と話す倉賀野設彦・管理者。今後は臼の飾り彫りなどオリジナル製品の開発にも力を入れたいという。

 

 一昨年からは、地元特産の玉ネギを使ったレトルトカレーの製造も始めた。地場産業の井波彫刻振興に寄与してきた社会福祉法人ならではの地域への慈愛(mercy)の精神がある。

 

 

 

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