建て替えで、まさかの遺跡発見 熊本地震で全壊の施設

2018年0508 福祉新聞編集部
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古墳の上に立つ山﨑施設長

 知的障害者の入所施設「第二明星学園」(熊本県上益城郡御船町)が被害を受けた社会福祉法人御陽会は、いよいよ5月中に新施設に着工する。

 

ところが今年1月、建て替えに向けて土地の調査をすると、地中から古墳の一部が発見され、県内で注目を浴びる事態に。「建設を中止して保存すべきだ」。そんな声も出る中、法人が下した決断とは。

 

 もともと同学園は、直径20メートルほどの小坂大塚古墳に隣接していた。円墳自体は御船町の所有だが法人の敷地内に古墳があるような状況で、利用者などが草取りなどの管理を無償で担っていた。

 

 古墳は、5世紀の古墳時代中期に造られたものだ。大正時代に行われたという発掘調査では、石室と共に鏡や勾玉、剣などが出土。当時、熊本県南で最大の権力者が埋葬されたと言われている。

 

 なぜ、こんなところに施設があるのか。山﨑雅之・同園施設長は「法人の創設に尽力した山内一太郎が、1979年に地主から土地を譲り受けたと聞いている。正直、詳細は不明」と説明する。

 

 地盤が弱く、旧耐震基準だったこともあり、築39年の入所施設は地震で全壊。同じ場所に新施設を建てることを決めた。
 円墳に隣接していることから、念のため町と県が昨秋、試掘調査を行ったところ古墳の回りに周溝を発見した。そこで、今年1月に本格調査を実施。すると、敷地の門に近い深さ1・5メートルの場所に、円墳へ渡る陸橋と、壺型の埴輪が見つかったという。

 

発掘した跡。奥左が施設、奥右が古墳

 

 山﨑施設長は「町の担当者が『歴史的大発見です』と報告してきたが、建設中止になるかもと考えると素直に喜べなかった。そもそもなぜ施設を建てた時に見つからなかったのか」と苦笑する。

 

 懸念は建設の遅れだけではなかった。文化財保護法により、発掘調査に必要な費用は事業者が負担しなければならず、900万円もの財政負担がのしかかる。また、3月初旬に現地説明会を開催したところ、住民や考古学ファンなど250人が参加し、「これはぜひ残すべきだ」などの声が上がったという。

 

 そこで、山﨑施設長は町などと交渉。その結果、写真で残す「記録保存」とし、埋め戻すことで決着した。調査費用の900万円は町と折半することになったという。

 

 山﨑施設長は「別の場所への移転という選択肢がなかったわけではないが、土地の用意などでハードルは高い。今回、円墳の一部が出たのは運。過去の歴史も大事だが、私にとっては今生きている利用者の方がもっと大事」と話す。

 新施設は5月までに着工予定。今年度中の完成を目指すという。

 

 

 

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