〈目黒・虐待死事件〉児童相談所の体制強化 焦点に

2018年0618 福祉新聞編集部
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結愛ちゃんが住んでいたアパート。1階車庫前に花や飲み物が手向けられていたが片付けられた(14日)

 3月に東京都目黒区のアパートで、船戸結愛ちゃん(5)が死亡した事件で、警視庁は6日、保護責任者遺棄致死容疑で、父親の雄大容疑者(33)と母親の優里容疑者(25)を逮捕した。事件は、香川県から指導措置を受けていた両親が目黒区に転居し、引き継ぎを受けた東京都の児童相談所が対応を協議している間に 国会議員から、児相改革を求める声も上がっている。

 

 関係者によると、結愛ちゃんは2016年12月と17年3月、香川県児相に一時保護された。雄大容疑者は結愛ちゃんに対する傷害容疑で17年2月と5月に2回、書類送検されたが、不起訴処分となっている。

 

 そうした中、雄大容疑者は17年12月、東京都目黒区へ転居。香川県児相は18年1月上旬に指導措置を解除した。

 

 ただ、結愛ちゃん親子が1月下旬に目黒区で雄大容疑者と同居を始めたため、香川県児相は東京の品川児相に連絡。品川児相は家庭訪問したものの、会えなかったという。そうした対応を協議する過程で事件は起きた。

 

 結愛ちゃんは十分な食事を与えられておらず、死亡時は約12キログラムしかなかった。5歳児の平均体重の約6割の水準だった。

 

 結愛ちゃんは雄大容疑者の実子ではなく、日常的に暴力をふるわれ、優里容疑者は虐待を黙認していたとみられる。毎日未明から結愛ちゃんに文字を書かせたことも分かっており、アパートから「もっとあしたはできるようにするから。もうおねがい、ゆるして。ゆるしてください」などと書かれていたノートも押収されている。

 

 事件について、香川県と東京都はそれぞれ検証作業を行う。転居時の引き継ぎや、品川児相の対応が適切だったかが焦点となる。

 

 浜田恵造・香川県知事は11日、6月下旬にも県の対応を検証する第三者委員会を開催すると発表。会見で「多分野の委員を集め、課題の分析や改善策などを検討する。児相の体制の一層の強化も検討したい」と話した。

 

 また、小池百合子・東京都知事は8日の会見で、都内全11カ所の児相の職員を増員すると表明した。13日には児童相談センターを視察。視察後の会見で「相談件数が増える中、効率的に働くためにはどれぐらいの人数が必要になるのか」との問題認識を示した。

 

 

児相の専門性に疑問を呈した塩崎会長(中央)

 

 

 国会議員から、児相改革を求める声も上がっている。

 

 児童の養護と未来を考える議員連盟(塩崎恭久会長)は13日に緊急会合を開催した。会合には厚生労働省の幹部が出席し、児童虐待対応の現状などを説明。17年の調査で全国の児相所長の業務経験年数は、10年以上が50%に上ったが、3年未満が15%いることを明らかにした。

 

 また任用資格である児童福祉司は全国で3086人だが、このうち社会福祉士を持つ人は39%だった。配置基準については19年度から人口4万人に1人とする方針だという。

 

 こうした現状を受け、議連は児童虐待防止対策のさらなる強化を求める決議を採択。厚労省に対し、必要な予算の確保や都道府県などへの強力な指導を求めた。

 

 児相に対しては、通告時の危険度を判断する専門セクションの創設など児童相談所改革が必要と指摘。専門職採用の推進や、児童福祉司の資格制度化を検討して結論を出すよう求めた。

 

 同時に児相に弁護士や医師などの配置を進めることも要望した。虐待の医学的判断や法的な権限行使を迅速に行う必要性を強調している。このほか、子どもの立場に立って代弁するアドボケートの仕組み創設も盛り込んだ。

 

 会合で塩崎会長は、児相の専門性について疑問を呈し「今は児童の専門でなくても、社会福祉士なら(児童福祉司に)なることができる。児童の問題について専門性のある国家資格をつくった方がいいのではないか」と強調した。

 

 

 

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