総務省がソーシャルワーカー活用に注目 2040年の自治体戦略で

2018年0717 福祉新聞編集部
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 高齢化がピークを迎える2040年ごろの自治体行政の課題を検討している総務省の「自治体戦略2040構想研究会」(総務大臣主催、座長=清家篤・慶應義塾大学事顧問)は3日、住民の生活上のニーズに民間の力も活用して対応するため、ソーシャルワーカー(SW)が組織的に仲介する機能が必要だとする報告書をまとめた。人口減に伴い公務員も減ると想定し、公的部門の機能転換を図る。総務省がソーシャルワーカーの活用に言及するのは異例。

 

 

 研究会報告を踏まえて政府は5日、第32次地方制度調査会(首相の諮問機関、会長=市川晃・住友林業(株)取締役社長)を発足した。その諮問事項の一つが「公・共・私のベストミックス」で、ソーシャルワーカーの活用もそこに含まれる。

 

 調査会は学識経験者18人、国会議員6人、地方6団体の代表者6人で構成。諮問事項の具体化を議論し、2年以内に答申する。行政改革の文脈でソーシャルワーカーが議論されるのは珍しい。

 

 ソーシャルワーカーの国家資格として社会福祉士、精神保健福祉士があるが、市町村での配置はあまり進んでいない。市町村行政の在り方を見直すことで、社会福祉士、精神保健福祉士の任用が進む可能性が出てきた。

 

 

 研究会報告は人口減少時代に合った行政の姿にモデルチェンジするよう提案するもので、その柱の一つが「公共私によるくらしの維持」だ。「自治体職員は関係者を巻き込み、まとめるプロダクトマネジャーとなる必要がある」と明記した。

 

 その上で「放置すれば深刻化し、社会問題となる潜在的な危機に対応し、住民生活の維持に不可欠なニーズを、より持続的、かつ、安定的に充足するためには、ソーシャルワーカーなど技能を習得したスタッフが随時対応する組織的な仲介機能が求められる」とした。

 

 具体的には、家庭内での子ども虐待などを「潜在的な危機」、独居高齢者の見守りや買い物支援などを「住民生活の維持に不可欠なニーズ」と想定する。

 

 研究会報告はこうした危機やニーズに市町村が公的なサービスだけで対応するのは困難と判断。ソーシャルワーカーが元気な高齢者らの主体的な活動につなげることで対応しようと提唱している。

 

 この考えは、住民同士が支え合う「地域共生社会」(政府のニッポン1億総活躍プラン)や、今年4月施行の改正社会福祉法が市町村の努力義務とした「包括的な支援体制の整備」(第106条の3)と符合する。

 

 こうした報告について、白澤政和・日本ソーシャルワーク教育学校連盟会長は本紙の取材に「社会福祉士などソーシャルワーカーが注目されたことはありがたいし、その活躍の場が広がることを期待する。さまざまな組織の再生で中核的な役割を果たせる人材を育てるため、教育カリキュラムの見直しを検討している」とコメントした。

 

 研究会報告のもう一つの柱は「東京圏のプラットフォーム」だ。

 

 埼玉、千葉、東京、神奈川の東京圏では、今後急増が見込まれる医療・介護ニーズなどエリア全体で解決すべき課題に対応するため、国も含めた協議の場が必要だと提言した。

 

 一方、地方圏については、複数の市町村が連携してさまざまな行政サービスを提供する仕組みの法制化を要請した。中心都市のマネジメント力を高めて合意形成を図る方針だ。

 

 こうした「圏域ごとの地方公共団体の協力関係」も地方制度調査会の諮問事項となった。

 

 

 

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