<西日本豪雨>役立った応援協定 特養の入所者を約20ヵ所に避難(愛媛)

2018年0906 福祉新聞編集部
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かわかみ荘の裏の崩落した斜面。まだ修復のめどが立っていない

 平成最悪の気象災害で221人が亡くなった西日本豪雨から約2カ月がたつ。福祉施設は14府県で435カ所(8月21日、厚労省まとめ)が浸水や雨漏りなどの被害を受けた。被災施設では差し迫る危険を感じながら懸命の避難支援を行い、近隣施設は利用者の受け入れなどで迅速に協力した。愛媛県大洲市の南予地区では、高齢者施設による災害時の応援協定が役立ったケースもある。岡山、広島、愛媛各県の被災施設では1日も早い復旧を目指して動き始めているが、それぞれ再開に向けて課題も残る。

 

 

 「協定があったことで避難する入所者をスムーズに受け入れてもらえた」ーー。

 

 愛媛県大洲市の特養「かわかみ荘」(大洲喜多特別養護老人ホーム事務組合)は7月7日午前5時ごろ、施設の裏の斜面が高さ30メートル、幅30メートルにわたり崩落。土砂が外壁を破壊して施設内に流入した。

 

 当時50人の入所者(短期入所含む)がいた。斜面側の入所者は事前に別の居室に移動させていたため無事だったが、受水槽が壊れ、一部停電するなど施設のライフラインも被害に遭った。

 

 同荘は支援を求め、協定の緊急連絡網により、南予地区老人福祉施設連絡協議会の冨士森斉会長(松葉寮施設長)に電話。冨士森会長は被災状況や受け入れてほしい入所者数、必要な物資などを聞き、その情報をすぐに協定を結ぶ施設や県老施協などに回した。早速、翌8日から入所者を受け入れる施設と調整し、約20カ所に分散して避難した。大半は同荘に入所者を迎えに来た。物資が不足することもなかった。

 

 協定は2013年4月、大洲市ほか、宇和島市など7市町の老施協会員施設が締結した。現在、35施設が参加する。東日本大震災を機に施設間のつながりを持とうと結ばれた。既に同様の協定を締結していた山形県の例をベースにした。

 

 災害が起きた際、被災していない施設が被災施設の利用者の受け入れや応援職員の派遣、給水や生活必需品などの物資の提供などを行う。発災時に応援要請がなくても自主的に応援することも規定。さらに各施設がとるべき役割などを明確にし、迅速かつ的確な相互応援のためのマニュアルも整備されている。

 

 

また使えるように車いすを修繕する

 

 

 南予地区老施協では年1回、物資の調達訓練をしている。ある施設が被災したと想定し、実際に物資を運ぶ。搬送にかかった時間をチェックするなどし、改善点があれば見直してきた。

 

 1階が浸水被害に遭った大洲市の地域密着型特養「清祥会ひまわり」(社会福祉法人清祥会)も、協定を結んでいる施設などに入所者を一時受け入れてもらった。垣内哲施設長は「本当に助かった。協定があったから対応が早かった」と言う。

 

 冨士森会長は「多くの施設が率先して協力し、動いてくれた」と協定の意義を強調。課題としては「災害時は種別の垣根を超えてお互いさまの精神で支え合えるようにしたい」と話す。

 

 

 

 

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