介護人材の賃上げへ 厚労省で具体的手法の議論始まる
2018年09月18日 福祉新聞編集部
厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会は5日、介護人材の処遇改善に向けた議論を始めた。政府が新しい経済政策パッケージで示した「勤続10年以上の介護福祉士について月平均8万円相当の処遇改善を図る」との方針を受けたもの。どの程度の経験や技能のある職員を対象とするか、介護職員以外も含めるかが焦点となる。
パッケージは昨年12月に安倍政権が掲げる「人づくり革命」を実現させるため閣議決定された。介護人材は2025年度末までに55万人不足すると推計されており、人材確保を最大の課題とする。
処遇改善の手法としては、経験・技能のある介護職員に重点化しつつ、介護職員以外を対象とすることも含めて検討するとしていた。開始は19年10月。消費税10%への引き上げによる増収分のうち1000億円を充て、介護報酬改定で対応することも示されていた。
16年度時点で介護職員は全国に約190万人いる。そのうち介護福祉士の割合は4割。非正規職員は施設の介護職員で4割、訪問介護員で7割に上る。平均給与は産業計が36万6000円(勤続約11年)に対し、介護職員は27万4000円(約6年)。介護職員の離職率は16.2%で、理由は収入が低いことより職場の人間関係や心身の不調が多い。
それらを踏まえ委員からは、介護職員の給与を上げつつも、働きやすい職場づくりを含めた対応が必要との意見が目立った。またケアマネジャーなど他職種も含めるよう求める意見も多数出た。
厚労省は現行の介護職員処遇改善加算を拡充して対応する意向で、次回以降に具体案を示し、年内に審議報告をまとめる。
同日は消費税10%への引き上げによる負担について、介護事業者や専門職など30団体からヒアリングすることも決まった。
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