児童相談所の介入強化へ 虐待防止へ厚労省が素案

2018年1217 福祉新聞編集部
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 厚生労働省は7日、社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会のワーキンググループ(WG)に、児童虐待を防ぐため、都道府県に対して危機介入機能の強化などを求める報告書の素案を示した。児童相談所の介入と支援の部署を分けることや、専門人材の育成に関する体制整備などが柱。ただ、新たな子ども分野の国家資格化が「引き続き検討」と保留にされた点について、一部の委員が反発する場面もあった。報告書は年内にもまとまる見込み。

 

 WGは、2016年の改正児童福祉法で、積み残しになっていた要保護児童の通告の在り方や、子ども分野で働く職員の資質向上策を議論しようと、今年9月につくられた。

 

 児相の介入機能の強化については、今年3月に東京都目黒区で起きた女児虐待死事件でも、児相が親との関係を重視しすぎて介入できなかったことが指摘されている。厚労省によると、現在、初期対応と支援の機能を分けている児相は3分の1にとどまる。

 

 こうした点を背景に今回の素案では、必要に応じて躊躇なく介入する体制整備が必要と指摘。介入と支援の機能に応じて児相の部署を分けることを求めた。また、法的な知見を踏まえたケース対応ができるよう、日常的に弁護士と対応できる体制も整備する。

 

 また、児相の質向上に向け、業務の第三者評価を行う仕組みを段階的につくる。電話受け付けや里親支援、安全確認などの業務は民間委託を進めるよう求めた。さらに、児相全国共通ダイヤル「189」は虐待通告に絞り、相談の番号とは分けるよう見直す。

 

【報告書素案のポイント】

 

 
 児相職員の支援の質向上については、スーパーバイザーの研修や、レポート提出を必須とするなど要件を厳格化。児童福祉司や児童相談所長の任用要件で、相談援助の業務経験が必要であることを明確にするという。

 

 これまで子ども分野の国家資格を求める意見も出ていたが、求められる要件も含めて「引き続き検討する必要がある」との表現にとどまった。

 

■資格化に賛否

 

 今回の会合には、日本社会福祉士会や日本精神保健福祉士協会など5団体が連名で、座長に対して児童福祉司の国家資格化に反対する意見書を提出した。現在、児童福祉司の4割が社会福祉士であるなど、自治体での採用が着実に進展していると評価。「求められるのは、専門資格の創設よりも養成カリキュラムや研修の充実だ」と主張した。

 

 これに対し、藤林武史・福岡市こども総合相談センター所長は、5団体の意見書について「長期的には新たな国家資格化の検討に反対していないのでは」との解釈を示した。その上で、「精神保健福祉士と同じように、児童領域でもプロフェッショナルの資格が必要」と述べた。

 

 同様に、奥山眞紀子・国立成育医療研究センター部長は児相や市区町村、施設など幅広く活躍できる国家資格が必要だと指摘。まずはケアマネジャーと同様の都道府県資格とすることも提案し、「両論併記でも、何年以内に資格化すると期限を入れるべきだ」と迫った。

 

 これに対して、座長の山縣文治・関西大教授は「これまでの議論では、資格化を決めてはいない。研修強化という意見もある」との見解を示した。宮島清・日本社会事業大教授も「行政には人事の問題もあり、社会福祉士などのカリキュラムや演習を充実させるべきだ。現時点で資格を作っても問題は解決しない」と、新たな国家資格の創設には反対の姿勢を強調した。

 

 

 

 

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