<東日本大震災から8年> 復興進む陸前高田 福祉の充実着々と

2019年0311 福祉新聞編集部
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市長(左)と障害者が同じテーブルで語り合った

 東日本大震災から8年。死者・行方不明1757人、津波による住宅の全半壊4041棟という大きな被害があった岩手県陸前高田市(戸羽太市長)では「ノーマライゼーションという言葉のいらないまちづくり」をテーマに掲げ、復興に向けた動きを着実に進めている。

 

 津波で住宅などが流された市街地は、かさ上げされて道路などが整備された。2017年4月には、全面バリアフリーの大型商業施設「アバッセたかた」が完成。住民の暮らしを支え、地域交流の拠点になっている。

 

2011年4月、震災直後の市街地

8年前とほぼ同じ地点から見た、整備された現在の市街地

 

 

 7万本の松原や海水浴場があった沿岸地域には、高田松原津波復興祈念公園を建設中。21年3月の完成に向け急ピッチで作業が進められている。

 

 一方、津波被害がなかった高台は造成され、住宅建設が進む。2月には、保健・福祉・介護の拠点となる保健福祉総合センターが完成した。

 

 復興作業が進む中、新たな地域課題も浮き彫りになった。震災前2万4246人いた人口は、今年1月末現在で1万9190人に減少。働き手不足は工場やホテル誘致に大きな影響を及ぼしている。

 

 また、高台に建てられた住宅や公共施設への移動など交通手段の確保も深刻な問題だ。市は、免許を持たない高齢者や障害者などのために支え合い型交通を検討しているが、具体策はまだ見えていないのが実情だ。

 

 

 そんな陸前高田市で2月28日、障害者と市長が同じテーブルで懇談する、全国でも珍しい「市長と語る会」が開かれた。同会はアメリカ留学時にノーマライゼーションを学んだ戸羽市長が、再選後の15年から毎年2回開いているもの。

 

 これまで3障害一緒に開いていたが、より絞ったテーマで話し合えるよう、同日は身体障害者が参加。市内3施設の利用者など7人と障害者支援施設の職員6人が、1時間半にわたり工賃増や交通バリアフリー問題を中心に意見を交わした。

 

 利用者からは「ケーキを作っているが売り上げが上がらない。企業並みの製品を作り、工賃を上げたい」「賃金の高いA型事業所を市内に作ってほしい」などの意見が出され、市長は「そこ(企業並み)を目指さないといけない。そのためには障害者が働きやすい生産工程など工夫が必要。働きやすい陸上養殖場などを検討している」「A型事業所を計画している法人がある。市はそうしたチャレンジを応援したい」などと語った。

 

 就労移行支援の利用者が実習に行く際の交通費を支給してほしいという施設職員の要望に、市長が「それはやりましょう。就職に役立つ資格取得を応援する制度もある。一般就労につながる仕組みは市も応援します」と即答する場面もあった。

 

 

 

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