日本の福祉の草分け 渋沢栄一が新1万円札に

2019年0422 福祉新聞編集部
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新1万円札の表面

 財務省は9日、2024年度上期をめどに、1万円札、5000円札、1000円札の紙幣と500円硬貨を全面的に刷新すると発表した。1万円札表面の肖像画には、中央慈善協会(現全国社会福祉協議会)初代会長の渋沢栄一が選ばれた。5000円札は近代的女子高等教育に尽力した津田梅子、1000円札は医者で細菌学者の北里柴三郎に替わる。

 

 誰もが紙幣の違いを判別しやすいようにユニバーサルデザインを取り入れるのが特徴で、視覚障害者が指で判別しやすいように紙幣の種類を識別するマークの形状や位置を変更する。弱視の人が見やすいように表と裏の額面数字を現紙幣より大きくする。

 

 渋沢は1840年、埼玉県深谷市生まれ。銀行、保健、家運、造船、製糸など500以上の会社を育てたほか、一橋大、日本女子大、日本赤十字社、聖路加病院の設立にも力を尽くした。1931年、91歳で没した。

 

 福祉関係では、生活困窮者や病者、孤児、高齢者、障害者の保護施設「東京養育院」の理事長を1874年の創設時から57年間務めたほか、わが国初の知的障害児者施設「滝乃川学園」の創設に尽力するなど多くの功績を残した。全国方面委員連盟(現全国民生委員児童委員連合会)の初代会長も務めており、全社協役員室には、今も大理石の胸像が置かれている。

 

全社協役員室に置かれた胸像

 

 渋沢栄一の胸像制作者は、大正、昭和時代に在野の自由を芸術の鉄則とした二科彫刻の中心的存在だった渡辺義知(1889~1963)。戦後は社会福祉に理解を示し、広島赤十字病院原爆殉難者慰霊碑を制作、社会事業家を顕彰する目的で渋沢栄一の胸像を大理石で制作するとともに、日本赤十字社創始者・佐野常民の大理石像、方面委員創始者・林市蔵の青銅像なども制作した。全国社会福祉協議会中央福祉学院にある「不死鳥」(大理石)も渡辺の作。

 

 斎藤十朗・全社協会長は「渋沢翁は『近代資本主義の父』という言われ方をしているが、それだけでなく、まだ『福祉』という言葉でなく、『慈善・博愛』といわれた時代に草分け的な仕事をされた人。今回選ばれて、なるほどと思った。会議で渋沢翁のことを機会あるごとにPRするように伝えたが、福祉関係者にももっと渋沢翁のことを知ってほしい」と話している。 

 

 

 

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