「施設」まだ必要か 都内特養の入所待機者調査から問題提起〈高齢者協〉

2019年0524 福祉新聞編集部
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東京都社会福祉協議会 東京都高齢者福祉施設協議会のホームページ

 「負の財産を後世に残すことになってしまわないか」。東京都社会福祉協議会の高齢者福祉施設協議会(高齢者協)は、都内特別養護老人ホームの入所待機者調査から、こう問題提起する。2015年4月から特養入所は「原則要介護3以上」とされたことで、待機者数が全国的に減ったため、実態をより正確に把握しようと調査をした。その結果から見えてきたこととは。

 

 調査は3年連続で、今回は3年目。昨年2~3月に高齢者協会員の特養473施設を対象に実施し、263施設から回答を得た(回収率56%)。 

 

 それによると、入所申し込みの窓口は「各施設」が多く、待機者名簿の管理は、23区では「各施設と自治体」、多摩東部・西部では「各施設」が多かった。

 

 待機者名簿の更新期間は、「1年以内」が23区では8割だったが、多摩東部・西部では5割にとどまった。また、自治体の入所指針で申し込みに有効期限の定めがないのは5割を占めた。

 

 入所の順番が来た待機者に案内して断られたケースは、1年間で1施設当たり平均15人だった。高齢者協制度検討委員会の宮澤良浩委員長(和楽ホーム施設長)は「当ホームの退所者は年約25人なので15人は多い。申込者イコール入所希望者ではない実態がある」と指摘する。

 

 待機者数をめぐってはかねて、複数の施設に申し込んでいたり、申し込んだまま放置されたりしていることが問題視されてきた。宮澤氏は「どこまで待機者の名寄せができているか。名簿の精度を上げる必要がある」と強調する。

 

 

 名簿上の待機者数は14年と17年を比べると、1施設当たり平均で28%減った。

 

 気になるのはその理由(複数回答)。「特養や有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅の増加」の影響を挙げる回答が多かった。23区では65%を占めた。

 

 また、多摩西部では、ベッド買いと言われる「所在地以外の市区町村からの入所」の希望者が減ったことも目立った。

 

 これらから懸念するのは「正確でない待機者の名簿によって施設が多く造られ、人が集まらず開設できない。一方、今ある施設は空きベッドができるという負の循環」。そうならないためにも待機者名簿の精度向上を求めている。 

 

 宮澤氏は「施設と人のバランスが取れないと、公費を使って施設を造っても無駄になる。見極めが必要」と指摘。さらに「今ある施設を大規模化したり、人件費を手厚くしたりして有効に活用すべきだ」とも言う。

 

 各自治体では第8期(21~23年度)の介護保険事業(支援)計画の策定に向けた準備に取りかかっている。

 

 待機者数を正確に把握するシステムづくりや高齢者数がピークを過ぎた後の施設の活用を含め、「今立ち止まって考えなくてはいけない問題だ」と宮澤氏は話す。

 

 

 

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