「こと」より「ひと」に着目 地域共生社会の実現に向け伴走型支援を強化〈厚労省〉

2019年0527 福祉新聞編集部
    • このエントリーをはてなブックマークに追加

 厚生労働省は16日、市町村が住民の孤立、困窮、介護といった生活課題に総合的に対応するための方策について検討を始めた。どんな相談も断らないことを目標とする。社会福祉法人や地域住民らが当事者に伴走する支援を強化する。かねて提唱してきた「地域共生社会」の実現に向けて、新事業の創設を視野に入れて年内に報告書をまとめる。 

 

 同日、地域福祉の実践者や有識者による「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」(座長=宮本太郎・中央大教授)の初会合で、検討の方向性を示した。

 

 複合的な課題を抱えたケースに対し、制度横断的に対応するようこれまでも市町村に呼び掛けてきたが、高齢者、障害者といった対象者ごとの縦割り制度下で相談機関が対応すると、補助金の目的外使用との批判を受ける場合があるという。

 

 市町村にとってやりづらい現状を改善するため、より制限の緩い補助金の流し方を検討する。どんな相談も宙に浮かないようワンストップで対応したり、複数の相談機関をつなぐ人材を明確にしたりする姿を目指す。

 

 伴走型支援とは、困りごとそのものではなく、困りごとを抱えた「その人」に着目した関わりを指す。「その人」がさまざまな人と出会い、支援される場面と支援する場面が起こることを側面から支えるイメージだ。

 

 「その人」が参加しようと思えるサロンや活動機会を作ることなどが想定される。困りごとを完全に解消することだけでなく、「その人」の生活の幅を広げた結果、困りごとを相対的に小さくすることにも価値を置く。

 

 総合相談や伴走型支援の担い手については、明確にしていない。

 

 厚労省は、新卒時に就職難だった30~40代の「就職氷河期世代」の就労問題、引きこもり、80代の親と50代の子どもが世帯ごと困窮する8050(はちまるごーまる)問題にも対応できるよう、「包括的な支援体制」を2020年代前半に構築することを目指す。

 

 17年6月公布、18年4月施行の改正社会福祉法は、「包括的な支援体制の構築」を市町村の努力義務とした。この点は同法の公布後3年をめどとした見直し規定がある。

 

 今回の検討はこの見直し規定を踏まえたもので、厚労省は「市町村による工夫を一層支援する具体的な方策を議論していただきたい」(谷内繁・社会・援護局長)としている。

 

 地域共生社会は、16年6月閣議決定の「ニッポン1億総活躍プラン」に盛り込まれた目標。サービスの支え手や受け手という立場を固定せず、誰もが地域づくりに参画することを目指すという。

 

 

貧困と生活困窮者支援: ソーシャルワークの新展開
埋橋 孝文 奥田 知志 行岡 みち子 有田 朗 鵜浦 直子 門田 光司 石田 慎二 高橋 尚子 郭 芳 野村 裕美 櫻井 純理 垣田 裕介 田中 聡子 倉持 史朗
法律文化社 (2018-10-10)
売り上げランキング: 485,403

 

「参加の力」が創る共生社会:市民の共感・主体性をどう醸成するか
早瀬 昇
ミネルヴァ書房
売り上げランキング: 320,833

 

 

    • このエントリーをはてなブックマークに追加