「更生支援」と捉えよう 愛の基金が再犯防止でシンポ

2019年0822 福祉新聞編集部
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更生支援をめぐり意見交換した

 罪に問われた障害者支援のあり方を考える「共生社会を創る愛の基金」(事務局=社会福祉法人南高愛隣会)主催のシンポジウムが8月4日、都内で開かれ、福祉・司法関係者約400人が参加した。

 

 2018年度から再犯防止推進法に基づく地方自治体の計画策定が始まったことに関連し、堂本暁子・前千葉県知事は兵庫県明石市が18年12月、「更生支援及び再犯防止に関する条例」を制定したことを紹介した。

 

 ここで言う「更生支援」は、全市民を対象とするもの。罪を犯した人の立ち直りを支える「更生保護」とは異なる。同市は条例名に「再犯防止」の文言よりも先に入れた。

 

 通常の行政サービスを罪に問われた人にも提供する当たり前のことだとする同市の考え方に触れ、堂本さんは「目からうろこが落ちる思いだ」と話した。

 

 罪に問われたか否かではなく、生きづらさを抱えているか否かに着目して行政のあり方を考えようという認識は広がりつつある。

 

 元最高裁判事の横田尤孝さんは、18年12月から奈良県の「更生支援のあり方検討会」で委員長を務める立場で、現在の検討状況を報告。「再犯防止ではなく、更生支援という考え方でやらないと、地方自治体は受け入れ難いのではないか」と話した。

 

 村木厚子・元厚生労働事務次官も、「出所者だけを見ていてはダメだ」とし、地方自治体が何か特別なことをしなければならないと思わないようにすることが大事だと唱えた。

 

 再犯防止推進法は16年12月に成立。刑事司法の一部に地方自治体の関与を規定した点が新しい。政府は同法に基づく基本計画を17年12月に策定。それに基づいて都道府県・市町村が地方計画を作ることが努力義務とされている。

 

 法務省によると、今年4月1日現在、15府県、3市区町村が計画を策定済み。18年度から始めた30自治体での再犯防止推進モデル事業については、今秋に中間評価をまとめる予定だ。

 

 主催の「愛の基金」は村木元事務次官がえん罪事件で得た国家賠償金をもとに12年に発足。生きづらさを抱えて犯罪を繰り返す障害者らを支援するための研究や助成などに取り組んでいる。

 

 

 

 

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