広がれ! 引きこもり支援の輪 5市長が初サミット

2019年0905 福祉新聞編集部
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サミットの宣言を採択した(左から守山市、宇部市、総社市、安中市、豊明市の各市長)

 引きこもり支援の必要性や課題を広く共有しようと、「全国ひきこもり支援基礎自治体サミット」が8月26日、岡山県内で開かれ、県内外の自治体職員ら約700人が参加した。同県総社市が全国規模のサミットとして初めて開催した。 

 

 出席した5市(岡山県総社市、群馬県安中市、愛知県豊明市、滋賀県守山市、山口県宇部市)の市長は、引きこもり支援の具体策を研究し、全国に発信することなどを盛り込んだ宣言文を採択した。

 

 5市が持ち回りで毎年サミットを開くことも確認した。引きこもりの人がどの市町村に住んでいても必要な支援を受けられるよう、5人の市長が呼び掛け人となって支援の輪を全国に広げる。

 

 総社市の片岡聡一市長は「行政は引きこもりの人を見て見ぬ振りしてきた。大いに反省しなければならない。これまでのことをおわびしながら、一人でも多くの人を迎え入れたい」と述べた。

 

 安中市の茂木英子市長は「家族が気軽に集まれる場をつくりたい。家族が本人に適切にかかわることが大切だ」とし、豊明市の小浮正典市長は「市内に引きこもりの人は約600人いるが、相談窓口が会えた人はそのうち22人。全体的な体制は整ったが、実績はこれからだ」と話した。

 

 「引きこもりを特別扱いするのではなく、対象を問わない全世代型の相談体制にシフトした」と話したのは宇部市の久保田后子市長。すべての人が社会とつながりを持てるよう寄り添った上で、専門機関につなぐという。

 

 守山市の宮本和宏市長は「引きこもりの実態は、中学校までは義務教育なので捕捉できるが、高校は難しい。高校の不登校・中退者について、出身の町に情報提供するよう県に提案している。この点は将来的には法制度も必要だ」と語った。

 

 

 サミットに続き、地域共生社会をめぐる厚生労働省の検討会座長の宮本太郎・中央大教授が講演したほか、引きこもり当事者、家族、厚労省の担当者らが登壇するフォーラムも開かれた。

 

 厚労省は市町村の相談体制を再構築し、困りごとを抱えた人や家庭にかかわり続けることを促す交付金を創設する方針で、2020年の通常国会に改正社会福祉法案などを提出する予定だ。

 

 今年は3月に内閣府が中高年の引きこもりを61万人とする推計を初めて公表したことを受け、政府内でも引きこもり関連の施策が話題に上っている。

 

 

宮本教授の講演趣旨

 

 

 

地方自治の試金石

 

 今年は「引きこもり解決元年」にしたい。問題の根は、数十年かけてつくり上げてきた年齢輪切り主義の「労働」や、対象者ごとに縦割りとした「福祉」の制度にある。

 

 これを見直し、元気人口を増やすことが自治体の持続可能性を高める。「労働」「福祉」のいずれからも漏れた人が新しい生活困難層だ。この層を放置しておくと、将来大変になる。その意味で引きこもり支援は自治体にとって試金石となる。一律の青写真はない。

 

 厚労省の検討会は、相談機関が分野を超えて自由にかかわれる条件を整えようとしている。新しい生活困難層を包括的に支える上で、今は現金給付の仕組みが弱い。これを強化することがこれからの課題だ。

 

 

 

 

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