子ども分野の新資格には反対 日本ソーシャルワーカー連盟が方向性を確認

2019年1029 福祉新聞編集部
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新資格に反対の意思を示す青色の紙を上げる人が多かった

 日本ソーシャルワーカー連盟は6日、緊急企画「子ども家庭福祉に関わる『ソーシャルワーク』について考える」を開催した。子ども分野の新たな国家資格の議論が進む中、現場で働くソーシャルワーカーが報告。その上で、会場に集まった参加者に新資格について賛否を問い、今後も反対する方向性を確認した。 

 

 子ども分野の国家資格をめぐっては、厚生労働省のワーキンググループが9月から議論を開始。来夏までに結論を出す予定だ。

 

 開会あいさつで、日本精神保健福祉士協会長でもある柏木一惠・同連盟会長は、「新資格ではなく、社会福祉士や精神保健福祉士など既存の資格を活用すべきだ」と強調。一方、こうした議論が起こるのは既存資格が児童福祉の領域で十分に機能してこなかったためだと反省の姿勢を示した上で、「現場のソーシャルワーカーが子どもと家族を支える地域をつくることが責務だ」と呼び掛けた。

 

 続いて、ソーシャルケアサービス研究協議会の白澤政和代表が、3月にまとめた児童福祉司の質の向上に関する提案について報告した。

 

 報告書は、既存資格のカリキュラムに、子ども虐待に関する専門科目や実習など新たな教育課程を上乗せすることを提案している。資格取得後も、認定社会福祉士を児童福祉司の推奨要件にすることも求めた。

 

 さらに同協議会による児童相談所へのアドバイザー派遣も提案している。

 

 トークセッションでは、岩手県福祉総合相談センターの児童福祉司である米澤克徳さん、川和児童ホーム(横浜市)の小山菜生子さん、杏林大学病院の加藤雅江さんが登壇し、子ども分野で働くソーシャルワーカーの質向上について議論した。

 

 施設や福祉事務所で勤務経験がある米澤さんは「資格があれば何かできるわけではない」と強調し、キャリアを長期的にみることが必要だと主張した。小山さんも「自分が学ぶ意識がないと質の向上は難しい。研修の時間が保証されていることも大事だ」と話した。

 

 一方、加藤さんは「質の問題と虐待を減らすことは別の問題」と述べ、ソーシャルワーカーには虐待死が起こらないための地域づくりが求められる、と主張した。

 

 また、参加者に子ども分野の新資格について意見を聞いた。すると、会場は反対の意思を示す青色の紙を上げる人が多くを占めた。

 

 閉会あいさつで、西島善久・日本社会福祉士会長は、今回の研修会について「現場の声を聞き、支援のベースにはソーシャルワークがあることを確認できた」と意義を強調。「地域づくりも含め、ソーシャルワーカーの社会的認知と実践につなげたい」と意欲を示した。

 

 

 

 

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