社会福祉法人の経営強化へ「連携法人」創設 協働・連携は3パターン〈厚労省 報告書〉

2019年1216 福祉新聞編集部
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 厚生労働省は12月10日、「社会福祉法人の事業展開等に関する検討会」(座長=田中滋・埼玉県立大理事長)に報告書案を示し、委員からおおむね了承された。参加する法人が資金を貸し付けできる「社会福祉連携推進法人」の創設が柱。増大する福祉ニーズに対応できるよう、社会福祉法人の経営基盤を強化する目的の新制度だが、実際にどれだけ機能するかは不透明だ。

 

 報告書案では、今後の社会福祉法人の連携・協働化の手法を、(1)社会福祉協議会や法人間の連携(2)社会福祉法人を中核とする連携法人(3)合併・事業譲渡―の3パターンに整理した=表参照

 

 

 連携法人は、病院や診療所などが連携する「地域医療連携推進法人」と類似の制度。計6回の検討会の議論で意見が集中したが、創設自体に反対する委員はいなかった。

 

 連携法人の法人格は一般社団法人。社会福祉法人が中核であることを担保するため、参加法人の過半数は社会福祉法人とし、議決権も過半数を社会福祉法人とする。

 

 業務内容は、(1)地域共生社会の取り組み(2)災害対応(3)福祉人材確保・育成(4)経営の支援(5)資金の貸し付け――と規定。これら以外の活動も柔軟に取り組めるようにするが、社会福祉事業はできない。

 

 資金の貸し付けについては、社会福祉法人は収益の法人外支出が禁止されているため、所轄庁の認定を必要とする、集まった資金は他の資金と分けて管理する、といった条件をつけ、限定して認める。

 

 貸し付け上限額は、各社会福祉法人で拠点から法人本部に繰り入れが可能な範囲とする。

 

 また、資金の貸し借りによって、社会福祉法人が破綻することがないよう、今後、詳細について慎重に検討するとした。

 

 厚労省は、来年の通常国会での社会福祉法改正案の提出を目指す。

 

 しかし、現に連携法人に対するニーズがどの程度あるのか明確ではない中、果たして連携法人は機能するのか。「絵に描いた餅」にならないよう工夫が必要だ。

 

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《委員のコメント》

 

 ◆全国社会福祉法人経営者協議会の宮田裕司氏

 社会福祉法人の経営基盤の強化に向けた選択肢の一つとして、連携法人が提案されたことはおおむね良い。まずは社協を中心にした連携が重要。その上で必要があれば、連携法人の活用、事業譲渡や法人合併という順番で検討すべきだ。

 

 ◆全国私立保育園連盟の塚本秀一氏

 少子化や人材難の中で、報告書の内容には一定の期待が持てる。1法人1保育園が多いため、連携法人への参加が促進されるよう、何らかのインセンティブがあると良い。整理された仕組みの中でどう取り組むか、今後は我々の問題になる。

 

 ◆キヤノングローバル戦略研究所の松山幸弘氏

 連携法人は、好事例が出てくれば広がるのではないか。初めから完璧なものはつくれない。貸し付けの自由度を高めることを含め、見直していけばよい。社会福祉法人は、地域包括ケアにおける生活支援を担い、存在意義を示してほしい。

 

 ◆日本福祉大の原田正樹氏

 連携ありきではない。大事なのは、社協や社会福祉法人が自発的に参画し、どんな重層的なセーフティネットをつくっていくかを構想することだ。それぞれの法人の特性を生かし、連携することで相乗効果が発揮できる、というアプローチが必要になる。

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